AIによって消防活動現場はこれだけ変わる!

AUDREYの搭載は、個人装備ばかりではない。消防車内のディスプレイや指令センターのディスパッチャーモニター(指令員画面)に組まれることが計画されており、下記のような流れで、AUDREYからの情報を生かして、消防活動を開始する。

たとえば、以下の火災現場活動に必要な情報をAUDREYから必要な範囲で得ることができる。

1.入電時

・通報者の位置と個人情報
・通報内容の悪戯の判断、常連の特定
・場所の危険特性
・出動署所から現場までの動線選択
・通報件数や内容からの応援要請判断

2. 出動途上

・先着隊、後着隊、現場指揮者などの現場配置指示
・水利情報、風向き、避難状況
・交通渋滞や工事、事故情報をモニターに表示
・先着ドローンからの現場映像による状況判断

AI搭載の消防車内ディスプレイにドローンからの映像と先着隊の配置状況が表示されている (出典:YouTube) 

3.現場到着時

・建物内部の階数表示
・フロア毎のテナント状況、屋内避難経路表示
・避難誘導経路指示と避難困難者(障害者等)の一時避難場所の指示
・エレベーター内の閉じ込め者の位置や状態
・逃げ遅れ者の位置と人数、状態の把握
・建物構造の脆弱部を特定
・建物所有者情報やコンタクト
・周囲への延焼危険と延焼方向特定
・飛び火警戒区域範囲情報
・指揮者への特定車両や活動人員などの応援要請判断
・現場指揮に必要な情報すべて

現場指揮者のAI搭載ハンディーパッドに表示された屋内危険箇所(出典:YouTube)




4.人命検索活動開始から終了まで

・屋内進入隊員への煙の流動方向や排煙箇所の指示
・安全区画の選定
・要救助者救出後の退出経路の具体的な動線誘導
・エア切れした消防士の脱出誘導
・消防士からの現場情報に関する質問への回答
・ボディーカメラ等の顔認証による要救助者の個人特定

ハンズフリー通話、音声明瞭化、空気呼吸器連動ヘルメット(出典:YouTube) 

5. 消火活動中

・適切な放水量調整情報による水損予防
・放水方向や火点の特定
・屋根裏・壁の間・床下などの残火情報
・建物の建材・建築工法の特定による倒壊危険予測
・塗料や内容物から発生する有毒ガス残留値
・空気呼吸器のエア残量と退出までのエア消費量を隊員ごと個別計算
・活動隊員の休憩場所や活動休息。現場交替時間指示
・各隊員の健康状態データによる水分補給量やメンタルチェック

ヘルメットシールドを通して見た映像には、GPS位置表示、残圧、サーモグラフィーによる環境温度が表示されている (出典:YouTube)
空気呼吸器の残圧が低くなったことを自動的に指揮隊に知らせる(出典:YouTube)
指揮隊のハンディーパッドには、残圧が低くなった隊員の位置と周囲の隊員の位置などが表示されている (出典:YouTube)
残圧が低くなった隊員へは脱出時間と方向が表示される(出典:YouTube)

6. 消火活動後

・防火衣、手袋、ヘルメット、ブーツ、空気呼吸器、その他の個人装備に
 付着した、発がん物質の特定と除染&処理方法表示
・放火、失火などの火災原因特定と発火源など物質の特定
・全ての活動隊員の無線通信内容、活動動線、ボディーカメラやヘルメッ
 トカメラの映像収集と活動解析

防火衣に付着した有毒物質や発がん性物質は色分けして識別される (出典:YouTube)


7.その他

・防火衣は最軽量の素材で最大限の防火性能があり、熱中症予防のための
 自動クーリング装置、耐有毒物質&耐発がん性物質素材を用いている。

・ヘルメットに装備された無線などのコミュニケーションデバイスには声質明瞭化フィルターが付いており、空気呼吸器のシールド型面体と一体化されている。

・空気呼吸器のシールド型面体には、活動環境情報、エア残量や体温など
 各隊員の安全情報、危険箇所情報、消防対象物の内部環境情報などが、
 隊員の指示により必要毎に数秒間表示される。