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2025年4月2日、アメリカのドナルド・トランプ大統領は「相互関税」の詳細を発表し、全世界からの輸入品に対して新たな関税政策を導入した。この政策は、すべての国に一律10%の関税を課す基本税率に加え、対米貿易黒字が大きい約60の国・地域に対して追加の税率を適用するものである。日本に対しては24%の関税が設定され、さらに4月3日には自動車を含む輸入品に25%の追加関税が発動された。これらの動きは、トランプ政権の「アメリカ第一主義」を具現化するものであり、日米関係に大きな影響を及ぼす可能性がある。ここでは、トランプ関税の背景と内容、その日本への影響、そして日米関係の今後の行方を考察する。

まず、トランプ関税の背景には、アメリカの対外貿易赤字削減という明確な目標がある。2024年11月25日、トランプ氏は中国、メキシコ、カナダからの輸入品に対してそれぞれ10%および25%の関税を課す方針を表明し、その後、対象を全世界に拡大する形で相互関税を打ち出した。ホワイトハウスが発表した文書によると、アメリカの2024年の対外赤字は1.2兆ドルを超えており、これを是正するため、各国との貿易条件を「対等化」する意図がうかがえる。特に日本に対しては、自動車産業や農産物市場における非関税障壁が問題視されており、トランプ氏は演説で「日本はコメに700%の関税を課し、トヨタは米国で100万台以上を売り上げている」と不満を表明した。この発言は、日本がアメリカ市場にアクセスしやすい一方で、逆の流れが制限されているとの認識を示している。

次に、トランプ関税の内容を具体的に見ていく。相互関税は、基本税率10%に加え、国ごとに異なる上乗せ税率を適用する仕組みである。日本に対する24%という税率は、中国(34%)やベトナム(46%)に比べれば低いものの、欧州連合(20%)や韓国(25%)よりも高い水準である。この税率は、日本の対米貿易黒字や非関税障壁の程度を反映したものと考えられる。さらに、自動車への25%関税は、日本経済にとって特に深刻な打撃となり得る。日本は米国に年間約170万台の自動車を輸出し、その輸出額は約5兆円に上る。トヨタ、日産、ホンダといった主要メーカーは、メキシコやカナダに生産拠点を有するが、これらの国にも同様の高関税が課されるため、現地生産品のコスト上昇も避けられない。