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気象予報の観点から見た防災のポイント
伊那谷豪雨―6月の気象災害―
1961(昭和36)年6月下旬、伊那谷(いなだに)と呼ばれる長野県南部の天竜川流域は豪雨に見舞われ、壊滅的な被害を受けた。下伊那郡大鹿村で山が大崩壊したほか、河川は各所で決壊・氾濫し、家屋の倒壊・流失・浸水、鉄道・通信の不通、道路損壊、橋の流失、農耕地や作物の冠水など被害は甚大で、伊那谷全体で死者・行方不明者は130人、被害総額は当時の貨幣価値で250億円に達した。
2021/06/01
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気象予報の観点から見た防災のポイント
紫雲丸事故(霧による海難)―5月の気象災害―
霧はそれ自体が猛威を振るうわけではないが、人間活動にさまざまな影響を与える。なかでも、交通にとって霧は大きな妨げとなる。霧による陸上の交通事故については、本連載シリーズ14(霧中の多重衝突事故)でとりあげた。今回とりあげるのは、霧による海難事故である。
2021/05/06
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気象予報の観点から見た防災のポイント
つちふる季節(黄砂)ー4月の気象災害ー
黄砂は、屋外に干した洗濯物を汚したり、自動車のフロントガラスやボンネットに積もったりする厄介者だが、その程度のことで済むならば、「災害」と呼ぶほどのことはないかもしれない。しかし、時には航空機の運航に影響を与えることがあり、また最近では健康への影響も指摘されていて、風物詩としてのん気に構えてばかりはいられない。
2021/03/29
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気象予報の観点から見た防災のポイント
那須雪崩事故―3月の気象災害―
2017年3月27日、栃木県那須町のスキー場付近で雪崩が発生し、8人が死亡した事故は、まだ記憶に新しい。このときの雪崩は、当日の朝早く房総半島沖で発生・発達した低気圧による多量の降雪が、その引き金になっていた。今回は、雪崩という現象と、それに関わる気象条件に焦点を当てる。
2021/03/01
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気象予報の観点から見た防災のポイント
常識外れの大雪―2月の気象災害―
2021/02/01
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気象予報の観点から見た防災のポイント
地域を麻痺させる豪雪―1月の気象災害―
2004年1月13日から16日にかけて、北海道のオホーツク海側はまれに見る豪雪に見舞われた。北見市では最深積雪が171センチメートルに達し、路線バスが全面運休するなど市内交通がストップしたほか、この地域に通じる鉄道や道路の多くが不通となり、復旧までに数日間を要した。このため物資輸送が停止して食料品店などの店先から商品がなくなり、市民生活に大きな影響が生じた。まさに、地域一帯が麻痺状態に陥ったといえる。
2020/12/25
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気象予報の観点から見た防災のポイント
霧中の多重衝突事故―12月の気象災害―
1998年12月1日の明け方、福島県会津若松市近くの磐越自動車道で、車両16台が巻き込まれる多重衝突事故が発生し、2人が死亡、30人が重軽傷を負った。当時、事故現場付近は霧に包まれており、これが事故を誘発したとみられている。今回は、交通障害を引き起こす霧、なかでも内陸の盆地に発生する霧を取り上げる。
2020/11/28
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気象予報の観点から見た防災のポイント
初冬の広域停電―11月の気象災害―
11月は早くも雪による災害が起き始める。2012年11月27日には、北海道胆振(いぶり)地方で暴風雪のため送電鉄塔が倒壊するなど送配電設備に被害が生じ、室蘭市、登別市を中心に広域停電が発生した。北海道電力によれば、事故線路は胆振、道南、道央の18線路にわたり、停電戸数は最大で約56,000戸に及んだ。全面復旧したのは事故の3日後であった。
2020/11/01
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気象予報の観点から見た防災のポイント
「なべ底型」台風後にもたらされた脅威―10月の気象災害―
2006年10月8日(日)、筆者は茨城県鹿島港近くの海岸に立ち、すぐ近くに見える座礁した貨物船を眺めていた。この遭難が発生したのは、その2日前(2006年10月6日)の夕刻。パナマ船籍の貨物船が巻き込まれ伊豆諸島近海で遊漁船が転覆した。このほか、大雨、暴風、高波、高潮、により、中部地方から北海道にかけての地域で、住家損壊、浸水害、土砂災害、山岳遭難が発生し、海難事故と合わせた死者・行方不明者は50人に達した。
2020/10/01
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危機管理の神髄
大統領が国民に語る
メガJFOの大講堂は立見席のみとなっており、その中を大統領はステージを横切って演壇に歩み寄る。 「今、国土安全保障省のオジャミ長官と他の閣僚メンバーからニューヨーク市の現状に関する最新情報を入手した」 「わからないことはあまりに多いのですが、われわれが今知っていることをお伝えしましょう」
2020/09/25
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危機管理の神髄
州とFEMAの出動
監視司令部はあの8月の暑い日の午後、任務チームの責任者に何度もコンタクトを試みた。24時間待機中の任務チームはニューヨーク市EOCの対応を調整する緊急事態マネージャーからなるものである。ホワイト・チームを率いるのは副局長のヘンリー・ジャクソンである。ホワイト・チームが当番であり、核対応の実行を任される。ジャクソンの仕事はすべてのスイッチを起動し、すべての人員を配置につかせることであった。そのために必要なのはグレート・マシーンのスイッチを入れて全員を乗り込ませることである。
2020/09/11
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気象予報の観点から見た防災のポイント
リンゴを落とす台風―9月の気象災害―
9月は名だたる台風が過去にたくさん上陸しており、解説の題材には事欠かない。むしろ、題材が多過ぎて困惑するほどなのだが、今回は台風による果樹被害を取り上げる。
2020/09/01
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危機管理の神髄
ポラリスの大災害を再び想像すると
NASAのミッション・コントロールに似た超ハイテクの中枢であるニューヨーク市監視司令部は警察と消防の放送、メディア、ソーシャル・メディア、911システム、天気予報をモニターしている。市の目であり、耳である。その唯一の任務は、すべての人、市、州、連邦の係官、そして住民に差し迫ったあるいは潜在的な脅威の警告を出すことである。
2020/08/24
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令和2年度7月豪雨にみるコロナ時代の地区防災計画のあり方
一般財団法人関西情報センターは8月27日、「令和2年度7月豪雨にみるコロナ時代の地区防災計画のあり方~命を守る早期避難と避難所運営の課題・対策~」をテーマにセミナーを開催する。
2020/08/17
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危機管理の神髄
あなたができる他のこと
あなたと家族の災害準備におけるあなたの役割がきわめて重要であることは言うまでもない。さらに時間とその意志があるなら、市・州・国の災害準備を前進させるためにあなたのできることがある。
2020/08/10
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気象予報の観点から見た防災のポイント
飛騨川バス転落事故―8月の気象災害―
岐阜県の飛騨川沿いの地域は、先月にも豪雨災害が発生したばかりだが、過去にも幾度となく豪雨に見舞われてきた。その中でも、1968(昭和43)年8月17日夜から18日未明にかけての通称「飛騨川豪雨」は、史上最悪のバス事故を発生させた集中豪雨として特筆される。
2020/08/03
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予測できない豪雨災害の増加と、自助・共助・公助の限界を補う「新しい」防災のあり方
線状降水帯の発生など、予測の難しい豪雨災害が近年増えています。一方で、高齢化や過疎化などにより防災の基本である「自助・共助・公助」はいずれも限界を迎えつつあります。そのような状況下における、新たな防災のあり方を考えてみます。
2020/08/02
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危機管理の神髄
あなたの核を知ることが最初のステップだ
ハワイで暮らすほど幸運ではなかったわれわれも、煉瓦壁の後ろから外をのぞいてみることを考えるべきだ。核攻撃の可能性は現実的なものだ。まだ起きていないが起きるだろう。幸いなことにハワイの晴朗な土曜日の朝には起きなかったが、どこかでいつか起きる可能性がある。もしそうなったらあなたは何をするかわかるだろうか?
2020/07/26
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危機管理の神髄
あなたができること
このきびしいメッセージは、希望の煉瓦壁の後方からじっと外を見る、責任のある人たちに連絡する、そして責任をとらせるということをあなたに納得してもらうためのものだ。一つの方法は彼らを捜し出すことだ。彼らを見出し、あなたと充実した時間を過ごしてもらう。彼らの計画の詳細をたっぷりと、きめ細かく、そして色とりどりに説明してもらうのだ。あなたは彼らが答えたこと、あるいは答えなかったことを、変化のための触媒に点火する火花として利用することができる。
2020/07/17
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気象予報の観点から見た防災のポイント
夏の山岳遭難―7月の気象災害―
痛ましい山岳遭難は後を絶たない。近年は中高年の登山ブームとかで、登山人口が増える中、遭難件数も増加している。図1は警察庁が公表している過去約60年間の山岳遭難者数の推移のグラフである。これを見ると、山岳遭難者数は平成に入ってから増加し、平成の約30年間で約4倍に増えたことが分かる。
2020/07/01
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危機管理の神髄
アメリカのためのグレートマシーン あなたができること
2017年10月31日の水曜日、今これを書いているとき、私のニューヨーク市はもう一つのテロ攻撃からよろめきながら歩いている。午後2時6分、晴れた温かいハロウィーンの午後、29歳のウズベキスタン人がニュージャージー州パッセイクのホームデポで白のフォードピックアップトラックをレンタルした。
2020/06/27
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危機管理の神髄
要支援障害者の危機
赤十字で学んだもうひとつのことは、他の地方自治体は、われわれがニューヨーク市OEMで取り組んだ集団ケアの実施能力を構築するようなことはせずにこの責任を捨て去り、赤十字に投げてしまっていることである。
2020/06/21
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気象予報の観点から見た防災のポイント
土砂災害―6月の気象災害―
6月は「土砂災害防止月間」に定められている。6月に土砂災害が多いのかというと、必ずしもそうではない。図1を見ると、土砂災害は夏から秋にかけて多いことが分かる。6月は土砂災害シーズンの始まりと言える。
2020/06/07
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危機管理の神髄
BCID対ブルームバーグ訴訟
大混乱は支配しなかった。どっと流れ込んできただけだ。 ジョン・ヘンドリック・バング リーリー・ロケットは彼女のボーイフレンドと、ハリケーン・カトリーナが襲った時ニューオーリンズでバケーション中だった。
2020/06/05
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危機管理の神髄
イースト・ビレッジ ガス爆発
パークアベニュー1642番地からちょうど南へ6マイルまたは120ブロック離れたところに市長邸がある。セカンド・アベニュー121番地は、かってフェルナンド・ウッド ニューヨーク市長が住んでいた。1855年のニューヨーク・タイムズ記事はその住所の前での500人の音楽隊によるセレナーデ演奏の模様を書いている。
2020/05/24