緊急事態管理局(OEM)が警報を発する
8月29日 木曜日 午後4時 ニューヨーク市ブルックリン、OEM本部監視司令部
NASAのミッション・コントロールに似た超ハイテクの中枢であるニューヨーク市監視司令部は、警察と消防の放送、メディア、ソーシャル・メディア、911システム、天気予報をモニターしている。市の目であり、耳である。その唯一の任務は、すべての人、市、州、連邦の係官、そして住民に差し迫ったあるいは潜在的な脅威の警告を出すことである。
テイナ・ギャラザは、30代、ブルックリン生まれのOEMのベテランで3年前に監視司令部のスーパーバイザーに昇進していた。テイナとその部下たちはブルックリンのOEM本部では午後3時から11時までの第三シフトの勤務であり、任務についてから1時間が経過していた。その時、コントロールパネルが点灯し、アラームの不快な音が部屋中に響き渡る。テイナはスクリーンのメッセージを凝視する。
「弾道ミサイルがニューヨーク市に向かっている。ただちにシェルターに入れ。これは、訓練ではない」
あら、またアラームが誤作動だなんていやね。北米航空宇宙防衛司令部は直したといったのに。今はご免こうむりたいものだわ、とテイナは思う。その思いは激しい地震のような揺れと轟くような爆発音によって中断される。監視司令部の床は急激に上下し揺すぶられる。窓のない部屋にかけられているスクリーンはカメラの強烈なフラッシュのように突然真っ白になる。非常用自家発電機のスイッチが入って頭上の照明が明滅する。停止は想定されていないコンピューターが再起動を始めようとする。しかしほとんどのスクリーンは黒色か、灰色のままである。
テイナはジョン・F・ケネディ国際空港の管制塔の屋上にミッドタウンの方向に向けて設置されているリモートカメラをちらと見る。スクリーンは天空にそびえ立つ火柱で一杯である。
恐怖の波がテイナを洗い流す。テイナはパニックをおさめようと声高に言う。「見て、12番カメラよ、核爆弾がミッドタウンを直撃しているわ?」
部屋の中を見回すと2名の隊員と警告の専門家がいる。一人は何年もの経験があるベテランの救急医療専門家であり、他の二人はこの仕事を始めてまだ日の浅い若者である。みんな怯えている。
「みんな、これなのよ、このために訓練をしてきたのよ。さあ仕事にとりかかりましょう。やるのよ」と号令をかける。
爆発の3分後、監視司令部は最初の警告を発する。
「みなさん、個人、家族、住民、ビジターのみなさん、屋内へ入り、屋内に留まり、今後の警報に注意してください」
「警察、消防関係者などのファーストレスポンダーは屋内に入り、今後の指示を待ってください」
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