2024/11/05
防災・危機管理ニュース
例年11月に暖房器具の事故が急増するとして、製品評価技術基盤機構(NITE)が、本格的な冬の到来を前に器具の点検を呼び掛けている。電気コードの破損や昨シーズンの灯油が入ったままになっていないかなどを確認し、重大事故の未然防止を訴えている。
NITEによると、2023年までの5年間に通知のあった暖房器具の事故582件を分析したところ、月別では11月に急増し、12月にピークになって以降、翌年4月まで多い状態が継続していた。石油と電気の暖房器具が全体の8割以上を占めた。
5年間の火災発生件数は、石油暖房器具が276件で、56人が死亡するなど人的被害が多かった。給油口から漏れた灯油への引火が最も多く、ガソリンの誤給油、可燃物の接触が続いた。電気暖房器具は182件で、家財を燃やすなど物的被害が目立つ。リコール対象製品の事故が最も多く、断線による発火なども多い。
NITEは、石油暖房器具の空気取り込み口にほこりがたまると、炎が逆流するおそれがあるため、掃除を勧めるほか、劣化した古い灯油の処分、地震時の自動消火装置の点検などを求めている。
電気暖房器具では、リコール情報の確認に加え、電気コードやプラグの破損の有無、転倒時に電源がオフになる安全装置の点検を訴えた。消費電力が大きいため、延長コードやたこ足配線にも注意が必要という。
NITEは「去年問題がなかったから大丈夫という思い込みは事故の元。シーズン初めや日々の点検で冬を安全に過ごしてほしい」としている。
〔写真説明〕タンクの灯油がこぼれた石油ストーブから一瞬で火柱が上がった再現実験(NITE提供)
(ニュース提供元:時事通信社)

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