2024/09/28
防災・危機管理ニュース
【エルサレム時事】レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師(64)は、内戦下のレバノンに侵攻し、南部占領を続けたイスラエル軍を2000年に撤退させたとして、対イスラエル闘争の「英雄」とアラブ諸国で広く認知されてきた。民兵組織だったヒズボラは、ナスララ師の下で軍事・政治両面で拡大し、「国家内の国家」と評されるまでに勢力を拡大した。
ナスララ師は1960年、首都ベイルート郊外の貧困地区で野菜売りの家庭に生まれた。幼い頃からイスラム教に傾倒。イラクなどでシーア派の神学を修めた。
10代でシーア派の民兵組織の活動に参加。イスラエルによるレバノン侵攻下の82年に創設されたヒズボラで実績を積み、92年に当時の指導者がイスラエル軍に殺害されると後継者となった。ヒズボラは政界に進出し、国政で強い影響力を持った。
ナスララ師とイランの親密な関係は有名で、ヒズボラは同国の支援を受けながら「抵抗の枢軸」と呼ばれる親イラン組織の中心に成長。軍事力はレバノン国軍を上回るとも言われる。パレスチナのイスラム組織ハマスの戦闘員育成なども行ってきた。
2011年に始まったシリア内戦では、イランが支持するアサド政権を支援するため部隊を派遣し、実戦経験を積んだ。しかし、アサド政権と対立するサウジアラビアなどスンニ派諸国との亀裂を生み、レバノン経済危機の要因をつくったとの見方もある。
暗殺を恐れ、地下室で生活していると言われていた。イスラエルへの厳しい姿勢を貫き、今月中旬にレバノンで起きた通信機器の一斉爆発を受け、報復を明言していた。
〔写真説明〕レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ナスララ師=2016年10月、ベイルート南郊(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- ナスララ殺害
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方