2024/09/28
防災・危機管理ニュース
自民党の石破茂新総裁にとって内政上の最大の課題は、派閥裏金事件にけじめを付け、国民の信頼回復につなげることだ。石破氏は「裏金議員」を次期衆院選で非公認とする可能性に言及しており、具体的にどう対応するかが問われる。防災省創設など目玉公約にいかに道筋を付けるかも試金石となりそうだ。
「選対本部で適切に判断する。説明責任はきちんと果たしたい」。石破氏は27日、新総裁として初めて臨んだ記者会見で裏金議員を公認するかどうか問われ、曖昧な答えに終始した。
石破氏は8月下旬の出馬表明の際、裏金議員に関し「公認するにふさわしいかどうか、議論は徹底的に行われるべきだ」と非公認の可能性に言及。しかし、旧安倍派を中心に反発が広がると、すぐに「新体制になってどうするのか決める」と発言をトーンダウンさせた経緯がある。
新総裁となった今、石破氏は答えを出す必要に迫られる。政治資金を巡る「限りない透明性を持って公開する」との宣言についても同様だ。野党からは「新総裁には裏金問題の実態解明を期待する」(立憲民主党の安住淳前国対委員長)との声が上がっており、対応次第では10月1日召集の臨時国会で追及にさらされる可能性もある。
総裁選で掲げた公約の実現も難題だ。防災省創設は石破氏の長年の持論。今回も「災害大国で専門の官庁がないのは異常だ」と訴えたが、党内では「屋上屋を架す構想だ」(若手)などと異論が根強い。石破氏は27日の会見で「簡単にできると認識していない」と認めざるを得なかった。
総裁選中には金融所得課税強化や選択的夫婦別姓制度導入にも前向きな考えを示しており、党内で反対論が強いこうした課題をどう前進させるかも試される。石破氏は近年、「首相にふさわしい人物」を問う世論調査で常に上位に位置してきたが、高い期待は石破氏の今後の対応次第で一気に失望に転じかねない危うさをはらむ。
〔写真説明〕記者会見する自民党の石破茂新総裁=27日午後、東京・永田町の同党本部
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方