屋内外のどこへでも持ち運べ、スマートフォンの充電や家電製品への給電に活躍する「ポータブル電源」の販売が急増している。8月の南海トラフ地震臨時情報の発表や台風10号の発生で、消費者の防災意識が急速に高まったことが背景にあるようだ。メーカーは増産を急いでいるが、店頭では一部で欠品も生じている。
 ポータブル電源大手の米ジャクリでは、8月8日の臨時情報発表後、日本国内での販売数が急増。1月の能登半島地震後も伸びたが、今回の売れ行きは「その倍」(広報担当者)という。オンラインショップや家電量販店では、人気商品が一時品切れとなった。
 中国メーカーのエコフローテクノロジーは、1~8月の日本での売上高が前年同期の約1.3倍に拡大、増産体制を敷いて対応している。売れ筋はバッテリー容量が1000ワット時で、価格は14万円台程度の商品という。
 JVCケンウッドは、非常に強く、速度が遅かった台風10号の影響で西日本を中心に受注が急増。増産しているが追い付かず、「ほぼすべての商品で欠品状態が続いている」(担当者)状況だ。
 ポータブル電源はスマホなどの充電に使うモバイルバッテリーより容量が大きく、照明や調理家電まで用途が広いのが特長だ。新型コロナ禍でのキャンプブームで利用する人が増えた。
 家電量販店「ビックカメラ有楽町店」(東京都千代田区)の専用売り場には、各社のポータブル電源が並ぶ。3台目の購入を検討しているという会社員の男性(60)は、「自宅に設置したソーラーパネルで充電して家電に使う」と話した。電気代節約のため普段使いをしている人も多そうだ。 
〔写真説明〕エコフローテクノロジーのポータブル電源「デルタ 3 プラス」(同社提供)
〔写真説明〕ポータブル電源の売り場=5日午後、東京都千代田区のビックカメラ有楽町店

(ニュース提供元:時事通信社)