台風10号は30日午後、瀬戸内海を東へ進み、午後9時ごろ、愛媛県四国中央市付近に再上陸した。暴風域はなくなったが動きが遅く、九州や中国地方西部、四国のほか、関東や東海、近畿でも断続的に大雨となった。台風による死者は、佐賀県鹿島市の80代男性が新たに認定されるなどし、計6人となった。気象庁は引き続き、土砂災害や低地の浸水、河川の増水に厳重に警戒するよう呼び掛けた。
 台風は31日にかけて紀伊半島方面へ進み、9月1日までに近畿付近で熱帯低気圧に変わる見込み。関東から近畿付近の大雨は、暖かく湿った空気が太平洋高気圧の縁を時計回りに回って流れ込んでいるのも要因という。
 同庁によると、発達した雨雲が連なる線状降水帯は、東海と近畿で31日午前にかけて発生する可能性がある。
 各地の消防などによると、台風による死者は、愛知県蒲郡市で起きた土砂崩れによる3人のほか、徳島県上板町の80代男性、佐賀県鹿島市の80代男性、福岡県築上町の川で発見された80代男性。
 このほか、鹿児島市では港で作業船が転覆して男性船長が行方不明となり、その後、付近で漂流中の遺体が見つかった。ほかに1人が死亡しており、消防などが関連を調べている。
 総務省消防庁によると、30日午後2時時点で宮崎県で40人、鹿児島県で24人など計99人が重軽傷を負うなどした。
 北九州市小倉南区では30日午前7時半までの24時間雨量が474ミリ、静岡県熱海市では同日午後5時40分までの同雨量が375.5ミリと、いずれも観測史上最多記録を更新した。埼玉県川越市と神奈川県二宮町では一時、5段階の警戒レベルで最も高い緊急安全確保が発令された。
 10号は30日午後9時、四国中央市付近を時速20キロで東へ進んだ。中心気圧は996ヘクトパスカル、最大風速18メートル、最大瞬間風速25メートル。半径330キロ以内が風速15メートル以上の強風域。
 9月1日午前0時までの24時間予想雨量は多い所で、東海400ミリ、近畿300ミリ、四国と関東甲信150ミリ、中国と北陸120ミリ。その後、2日午前0時までの同雨量は、東海400ミリ、近畿300ミリ、関東甲信200ミリ、北陸120ミリ、四国100ミリ。 
〔写真説明〕台風の影響で増水した多摩川=30日午前、川崎市高津区

(ニュース提供元:時事通信社)