内閣府は30日、海外経済の動向を分析した報告書「世界経済の潮流」を公表した。11月に実施される米大統領選挙で共和党候補のトランプ前大統領が勝利した場合は、移民政策の厳格化による影響で「インフレ再燃を招く可能性がある」と指摘した。貿易政策でも、広範な関税引き上げで「対米輸出国を始め、世界経済全体に大きな影響を与える可能性がある」と懸念を示した。
 報告書は米国経済について、実質賃金や個人消費が増加するなど「景気の拡大が継続している」との見方を示した。その上で、好調な経済の要因の一つに「移民流入の上振れ」があると分析。トランプ氏が大統領に返り咲き、移民を制限した場合、労働供給の不足による物価上昇を招きかねないと分析している。
 関税についても、広範な品目で引き上げられる可能性があると指摘した。特に対中国では大幅な引き上げが予想され、米国内での輸入物価上昇を通じたインフレ圧力による実質所得の減少や、国際的な供給網の混乱を招きかねないとしている。 

(ニュース提供元:時事通信社)