日常化するケンカ交渉術と対峙する処方箋
第68回:経営リスクを最小化する交渉力(4)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2024/07/30
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
交渉結果が部分最適で決着した場合、それがたとえ当方に有利な条件での決着だったとしても、長い目で見るとリスクが高まることは前稿まででご理解いただけたと思う。そうはいっても、一般社会でみなが全体最適を目指すという理想は実現困難で、空虚な妄想に近いといっても過言ではないだろう。
実際に、相手は自己の利益優先の部分最適を目指しているケースの方が多い。こういった場合、相手の要求は強いものになるだろうが、だからといって譲歩を前提にすると、その譲歩したポイントが相手の次のBATNAになり、さらに高い要求につながることが想像できるだろう。このサイクルに落ち込むと、負のスパイラルとしてなかなか抜け出せないのは必定である。
ということは、まずは相手がケンカ交渉術を駆使してくるかどうかを見極める必要が生まれる。相手が部分最適を目指すか、全体最適を共有できるか、そこを見極めることで対処が変わるからである。
最初に断っておくが、相手がケンカ交渉術を駆使してくるからといって、当方も同じスタンスでのぞんでいいといっているわけではない。むしろ、全体最適を目指すスタンスは1ミリも揺るがせてはならないと考える。ただ、実行のプロセスが異なるだろうし、全体最適が交渉決裂であるべきケースも生じるのである。そのために相手のスタンスを把握しておく必要があるのだ。
では、見極めるべきケンカ交渉術の特徴を下記に記す。
こうやって文字化すると、少々危ない世界のように感じる向きもあるかもしれない。それこそ、反社会的な活動や詐欺まがいの危険性を感じるかもしれない。しかし、そのような特別なことではなく、一般社会で普通に行われていることだと認識してもらいたい。
現実社会では、言葉巧みに、穏やかな口調で上記のようなやり取りが行われているケースが散見されるのであり、それを当人が意識しないで使っている場合もある。そうしてリスクが増大していくのだから要注意なのだ。
再考・日本の危機管理-いま何が課題かの他の記事
おすすめ記事
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/17
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/12/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方