【ファサーノ時事】先進7カ国首脳会議(G7サミット)は14日採択した首脳声明で、中国による巨額補助金を投じた電気自動車(EV)や半導体の大量生産・輸出を「有害な過剰生産」と厳しく非難した。半導体材料など重要鉱物の輸出規制がもたらす供給網の混乱に懸念も表明。不公正措置から労働者や企業を守り、「現に存在する損害を改善するため引き続き行動する」と強調した。
 米国や欧州連合(EU)は安価な中国製EVなどの流入で自国産業が打撃を受けているとし、対中制裁関税の引き上げを決定しており、こうした判断を正当化した格好だ。
 声明は「世界貿易における中国の重要性を認識する」とも指摘。中国との建設的な関係構築にも配慮した表現を盛り込み、経済の分断よりも特定国への依存を下げ、供給網を多様化していくことで対処する姿勢は維持した。
 議長国イタリアが重視している人工知能(AI)の普及による雇用への悪影響を巡っては、人間の仕事が取って代わられる懸念などに対処するため「行動計画」をまとめると表明。G7労働雇用相会合を中心に具体策の検討を指示した。生産性の向上といった利点も挙げ、労使双方にAIを使いこなすスキルを身に付けさせ「(労働での)包摂性と平等な機会を促進する」ことを掲げた。
 また、AIの軍事利用に関し「責任ある開発と利用の枠組み」の必要性を指摘した。
 世界経済の現状に関しては「予想以上の強靱(きょうじん)性を示しているものの、地政学的緊張、エネルギー価格の新たな変動などに伴うリスクに引き続きさらされている」と下振れリスクへの警戒を表明。対ドルで円安が続く為替相場について「過度な変動が経済に悪影響を与え得る」などとするG7の従来姿勢を再確認した。 

(ニュース提供元:時事通信社)