農作物や海産物の収穫量・漁獲量の変化は食糧難の予兆か(イメージ:写真AC)

■食料難の予兆

日本に住む私たちにとってほとんど無縁だった「食料難」や「食料危機」という言葉は、いよいよ現実味を帯びてきたかもしれない。

ウクライナ侵攻による小麦価格の高騰は食の安全保障を脅かすと言われたものの、実際に影響を与えたのは主に中東やアフリカ諸国だった。しかしその一方で、日本の小麦の主な調達先であるアメリカやカナダ、オーストラリアでは、高温や干ばつの影響で不作となり、減産を余儀なくされている。いわば気候変動によって食の安全保障が脅かされているのだ。

世界の小麦生産国の不作が価格に影響(イメージ:写真AC)

こうした影響は小麦だけではない。異常気象のために米ジョージア州ではほとんどすべての桃が失われたし、テキサス州でも綿花のさやが大量に落ちてしまった。オリーブオイルの主要生産国であるスペインではオリーブの収穫量が落ち込み、イタリアではトマトの生産量が3分の1に減少した。いずれも熱波(猛暑)が原因である。

日本ではどうだろうか。2023年の状況を振り返ってみよう。

日本でも熱波の影響で米や野菜、果物の品質が低下(イメージ:写真AC)

まず新潟の米作農家は熱波の影響で米の品質等級が落ち、2023年は赤字になった。果実や野菜にも熱波の影響は及んでいる。例えば柿は収穫量が例年の半分以下に落ち込み、ぶどうも成熟が早まって房と実が小さくなってしまった。ブルーベリーは実が小さくしぼんで硬くなる被害が相次いだ。

人参、トマト、ネギなども平年に比べ、軒並み2割~5割の高騰に。家畜への熱波の影響も深刻だ。山形県畜産振興課の発表によると、7月、8月の2カ月間に暑さが原因で死んだと見られる家畜は、牛が前年比で2.75倍、豚が2倍、鶏が10.6倍と激増した。