熱くなった地球を冷ます技術の研究が進められている(イメージ:写真AC)

■地球が熱いのなら冷やせばいい

一向に減らないどころか、依然として増え続ける大気中の二酸化炭素。国連が掲げる「世界の平均気温を1.5℃にとどめましょう」という呼びかけも、形ばかりのスローガンみたいなもので終わっている今日この頃だ。そうしたなか、地球温暖化によってもたらされる最悪の影響を避け、八方ふさがりの状況に少しでも光を見出そうというテクノロジーの研究が世界各地で進められている。

いわゆる「ジオエンジニアリング」と呼ばれる技術のことで、大きく分けて二つの方法がある。一つは太陽光を遮る物質(エアロゾルなど)を大気中に放出して地球が受ける太陽光をコントロールし、地球の寒冷化を図ろうとするもの。ソーラー・ジオエンジニアリングと呼ばれている。

この技術のヒントになったのは1991年のフィリピン・ピナツボ火山の噴火だった。成層圏に広がった噴煙に含まれる粒子が太陽光を遮り、1年余りにわたって地球の気温が下がったからだ。

もう一つの方法は、大気中の温室効果ガスを回収し、貯蔵する技術。生物学的な力を借りて、土壌、森林、その他の陸上の生態系における炭素蓄積量を増加させるものだ。

大気中ににエアロゾルを放出して太陽光を遮る、大気中の温室効果ガスを回収して貯蔵する、そのようにして地球を冷ますジオエンジニアリング(イメージ:写真AC)

例えば、海に鉄を散布することによって海中生物の光合成を促し、CO2の吸収を促進させる海洋肥沃化や、大気中のCO2を吸収する植物をエネルギー源とし、その際に排出されるCO2を回収・貯留したりする方法(CCSと呼ばれる)などがある。中国やオーストラリア、各産油国、日本などは二酸化炭素を回収して閉じ込める技術を支持し、研究が進められている。