気候変動がどのような未来をもたらすのかを3つの疑問に置き換えて語る(イメージ:写真AC)

■私たちの意識は変われるのか?

これまでさまざまな観点から、気候変動によって変わりつつある(あるいは停滞したままの)社会や経済の様相を見てきたが、最後の仕上げとして私は、この現状を将来に照らして3つの疑問に置き換えてみた。すなわち「私たちの意識は変われるのか?」「エネルギーはどうなるのか?」「地球の気候はどう変化するのか?」だ。これらの解説をもって第一部のまとめとしたい。

まず「私たちの意識は変われるのか?」について。気候危機に対する理解と認識を深め、実践的なアクションを起こせるかどうかは、2つのグループの人々がベクトルを合わせられるか否かにかかっていると私は考える。グループの一つは「企業経営者」であり、もう一つは「気候変動に否定的な意見を持つ人々」だ。

「私たちは変われるのか?」。二つのグループのベクトル合わせがカギ(イメージ:写真AC)

今日、若い世代(Z世代やミレニアル世代)を中心に気候危機に対する認識は少しずつ高まってきているようだが、私たちが最も変化を受け入れてほしいと願うのは、現在の企業経営を主導するY世代以上の人々だ。年々悪化する気候変動は、企業リーダーたちがミレニアル世代やZ世代へ交代するまで待ってはくれない。

一方、世の中にはさまざまな理由から気候危機に対して否定的な人々がいる。例えば情報不足による誤解。彼らはともすると気候問題に懐疑的なインフルエンサーの意見を鵜呑みにしがちだ。

また、自分の快適な生活や利便性が奪われてしまうことへの不安もあるだろう。さらに、これまで慣れ親しんだビジネスモデルを変えたくない企業は、無条件に脱炭素不要論や気候変動否定論を支持したいと考えるだろう。