裁判手続の基礎知識―流れと概要―【民事保全編】
民事保全手続の概要・特徴等
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山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。2006年慶應義塾大学文学部人文社会学科人間関係学系社会学専攻卒業、09年同大学大学院法務研究科法学未修者コース修了、10年弁護士登録、21年公認不正検査士(CFE)認定。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2023/12/20
弁護士による法制度解説
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。2006年慶應義塾大学文学部人文社会学科人間関係学系社会学専攻卒業、09年同大学大学院法務研究科法学未修者コース修了、10年弁護士登録、21年公認不正検査士(CFE)認定。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
本連載「裁判手続の基礎知識―流れと概要―」の初回に取り上げたのが、民事通常訴訟でした。
民事訴訟は、通常、一般の方が「裁判」「訴訟」というときにイメージしているものに当たるものです。そこでは、訴訟物と呼ばれる一定の権利・法律関係の存否について、裁判所に審判を求め、判決により、その権利・法律関係が確定されることになります。平易にいえば、権利・法律関係を確定する裁判手続が民事訴訟であるといえます。
しかしながら、例えば「被告は、原告に対し、1000万円を支払え」という判決を得ても、その判決を受けて被告が原告に対し、任意に1000万円を支払わなければ、極端にいえば、その判決は単なる紙切れに過ぎません。裁判所や行政機関が被告から金銭を回収し、原告に交付してくれるわけではないのです。
そうすると、判決を得たものの、被告による任意の履行がない場合には、被告の財産を差し押さえるなどして、判決により確定された権利・法律関係を実現していく必要があります。この権利・法律関係の実現を行う裁判手続が民事執行になります。
しかしながら、例えば、訴訟提起をした1年後に勝訴判決の獲得とその確定を経て、民事執行を行っても、銀行預金を使い果たされてしまっていたり、不動産を売却されてしまっていたりなどすると、せっかく訴訟により確定された権利・法律関係を実現することができなくなってしまいます。
こういった事態を防ぐための裁判手続が、今回ご紹介する民事保全です。これは文字通り、権利・法律関係を保全するための裁判手続になります。
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