特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)の概要【番外編➋】
労働組合法における労働者
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。2006年慶應義塾大学文学部人文社会学科人間関係学系社会学専攻卒業、09年同大学大学院法務研究科法学未修者コース修了、10年弁護士登録、21年公認不正検査士(CFE)認定。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2025/01/16
弁護士による法制度解説
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。2006年慶應義塾大学文学部人文社会学科人間関係学系社会学専攻卒業、09年同大学大学院法務研究科法学未修者コース修了、10年弁護士登録、21年公認不正検査士(CFE)認定。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
フリーランス新法の概要の番外編として、前回の記事では、フリーランス新法と労働関係法令との適用関係についてご説明しました。その際、労働基準法(以下「労基法」)をはじめとする個別的労働関係法令と、労働組合法(以下「労組法」)とでは、「労働者」概念の違いがあるため、フリーランス新法との適用関係も異なってくるという旨をお伝えしました。
労基法と労組法における「労働者」は、それぞれ次のように規定されています。
労基法における労働者の意義(定義)については、上のとおりであり、過去の記事でご説明しているように、「使用従属性」の有無が判断基準とされています。
一方、労組法における労働者の意義(定義)については、労基法にある「使用」という文言がないことなどから、労基法のような「使用従属性」は要しないと考えられています。
「労働者」の意義(定義)を巡って労基法と労組法との間にこのような差異がある理由としては、「自らの指揮監督下に置く(「使用する」)者に対して社会的公序に反する行為をすることを禁止し最低労働条件を保障しようとする労基法と、経済的に劣位に置かれる者に団結活動や団体交渉を行うことを認めてその地位を引き上げ労働条件の対等決定を促そうとする労組法(1条1項参照)の趣旨・性質の違いから、労組法では、その前提として、広い意味での経済的従属性の存在が求められ、労基法のような使用従属性(指揮監督下での労働)は要求されていないものと理解されうる」(水町勇一郎『詳解労働法[第3版]』(有斐閣・2023年)60~61頁)と説明されています。
弁護士による法制度解説の他の記事
おすすめ記事
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方