特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)の概要【番外編➊】
フリーランス新法と労働関係法令との適用関係

山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。2006年慶應義塾大学文学部人文社会学科人間関係学系社会学専攻卒業、09年同大学大学院法務研究科法学未修者コース修了、10年弁護士登録、21年公認不正検査士(CFE)認定。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2024/12/19
弁護士による法制度解説
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。2006年慶應義塾大学文学部人文社会学科人間関係学系社会学専攻卒業、09年同大学大学院法務研究科法学未修者コース修了、10年弁護士登録、21年公認不正検査士(CFE)認定。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2023(令和5)年4月に成立した「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(以下「フリーランス新法」)が本年11月1日から施行されて、1カ月以上が経過しました。フリーランス新法の概要については、第2章・第3章の規制を中心に、すでにご説明したところです※。
※特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)の概要【前編】
※特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)の概要【後編】
今回は、フリーランス新法と労働関係法令との適用関係についてご説明したいと思います。
フリーランス新法は、大要、「特定受託事業者」(2条1項)又は「特定受託業務従事者」(2条2項)たるフリーランスと、「業務委託事業者」(2条5項)又は「特定業務委託事業者」(2条6項)たる発注事業者との間の「業務委託」(2条3項)に関して適用される法律です。
一方、労働基準法や労働組合法をはじめとする労働関係法令は、「労働者」と「使用者」との関係や「使用者」の義務などについて定めている法律です。
このようにご説明すると、フリーランス新法と労働関係法令とは無関係であるとお考えになるかもしれません。しかしながら「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(令和3年3月26日 ・改定:令和6年10月18日、内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)(以下「フリーランスGL」)では、その適用関係について「フリーランスとして業務を行っていても、実質的に発注事業者の指揮命令を受けて仕事に従事していると判断される場合など、現行法上「雇用」に該当する場合には、労働関係法令が適用される」(6頁)とされています。
つまり、形式的には業務委託契約・請負契約・準委任契約などを締結していても、実質的に判断して雇用契約・労働契約に該当すると判断される場合には、労働関係法令が適用されることになるのです。
弁護士による法制度解説の他の記事
おすすめ記事
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方