フリーランス新法が適用されるか、労働関係法令が適用されるか(イメージ:写真AC)

はじめに

2023(令和5)年4月に成立した「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(以下「フリーランス新法」)が本年11月1日から施行されて、1カ月以上が経過しました。フリーランス新法の概要については、第2章・第3章の規制を中心に、すでにご説明したところです

特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)の概要【前編】
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)の概要【後編】

今回は、フリーランス新法と労働関係法令との適用関係についてご説明したいと思います。

フリーランス新法と労働関係法令の適用関係

働き方の実態によって、フリーランス新法ではなく、労働関係法令が適用される(イメージ:写真AC)

フリーランス新法は、大要、「特定受託事業者」(2条1項)又は「特定受託業務従事者」(2条2項)たるフリーランスと、「業務委託事業者」(2条5項)又は「特定業務委託事業者」(2条6項)たる発注事業者との間の「業務委託」(2条3項)に関して適用される法律です。

一方、労働基準法や労働組合法をはじめとする労働関係法令は、「労働者」と「使用者」との関係や「使用者」の義務などについて定めている法律です。

このようにご説明すると、フリーランス新法と労働関係法令とは無関係であるとお考えになるかもしれません。しかしながら「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(令和3年3月26日 ・改定:令和6年10月18日、内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)(以下「フリーランスGL」)では、その適用関係について「フリーランスとして業務を行っていても、実質的に発注事業者の指揮命令を受けて仕事に従事していると判断される場合など、現行法上「雇用」に該当する場合には、労働関係法令が適用される」(6頁)とされています。

つまり、形式的には業務委託契約・請負契約・準委任契約などを締結していても、実質的に判断して雇用契約・労働契約に該当すると判断される場合には、労働関係法令が適用されることになるのです。