(出所)FM Global Resilience Index 2018

米国の損害保険会社FM Globalは同社のサイト上で「2018 FM Global Resilience Index」というデータを公開している。これは次のような情報源から得られた情報を基に約130カ国のビジネス環境に関するリスクを評価した結果をまとめたものである。

- 国際通貨基金(IMF)
- 世界銀行
- 世界経済フォーラム
- 米国エネルギー情報局(Energy Information Administration)
- 国際連合
- Freedom House (注1)

評価に含まれる要因は本稿のトップにある画像のような構成になっており、「経済面」、「リスクの内容」、「サプライチェーン」という3つのカテゴリーに分けられた12の個別の要因に関する評価結果を用いて計算されている。

これらの要因に関する情報を収集・評価して計算された結果は、まず国ごとのランキングとして図1のように表示される。例えば図 1 は地図上でインドをクリックした状態であるが、(図では小さくてわかりにくいと思うが)地図上にインドのスコアが 43.1で60位であることが表示されている。また図の下端に小さい丸が並んでいるが、これは評価対象の各国をランキング順に並べたものであり(右側がよりレジリエンスの高い国)、黄色の丸印で示されているのが全体におけるインドの位置である。

図1. 評価結果全体(出所) 2018 FM Global Resilience Index

なお各国はランキングに応じて4分の1ずつに塗り分けられており、最も濃い青色の部分が、最上位の国から4分の1の範囲内に含まれている国である(注 2)。

また図2はインドの評価結果の内訳を表示したものである。ここでは上の方のタブをクリックすることによって「経済面」「リスクの内容」「サプライチェーン」の3つのカテゴリーごとの評価結果が見られるようになっており、図2は「サプライチェーン」の評価結果が表示された状態である。「サプライチェーン」のカテゴリーだけで評価するとインドは55位となっている。ちなみに「経済面」では 100 位、「リスクの内容」では51位となっており、これらを含めた総体的な評価結果が60位ということである。

なお右側の円形の図のなかで、「Supply Chain」と書かれている部分の内側にある扇形の部分をクリックすると、それぞれの個別要因に関する評価結果が表示される。ちなみにインドの場合「汚職のコントロール」で 72位、「インフラの質」で 47位、「現地のサプライヤーの質」で 72位、「サプライチェーンの可視性」で 37位となっている。

図2.インドにおける「サプライチェーン」評価結果の表示例(出所) 2018 FM Global Resilience Index

図2の下端部分は図1と同様に全体での位置が表示されるようになっており、上の部分で何の評価結果を表示させるかを切り替えると、これに連動して図も変化する。さらに、任意の複数国間で評価結果を比較することもでき、多機能かつ分かりやすいデザインのサイトとなっている。

しかしながらわかりやすい反面、サイト上には図と数字の情報しか表示されないので、国ごとの状況を大まかに比較することぐらいしかできない(注3)。したがってビジネスにおける何らかの意思決定のためには、より詳細な情報収集が必要になると思われるが、本サイトはそのような情報収集を始める際の入り口としての価値があるのではないかと考えられる。

なお、同サイトにはExecutive Summaryや方法論の解説がPDFファイルで掲載されている。特にExecutive Summaryには経年の傾向が記述されているので、ウェブ上のデータと合わせて読まれることをお勧めしたい。

■ 報告書本文の入手先
https://www.fmglobal.com/research-and-resources/tools-and-resources/resilienceindex

注1)Freedom Houseとは米国に本拠地を置く国際NGOで、自由と民主主義を広めることを目的として活動しており、国別自由度ランキングや各国の報道自由度ランキングなどの報告書を発表している。https://freedomhouse.org/

注2) 十分な情報がないために評価結果が示されていない国があるため、実際には5段階に塗り分けられている。

注3) 全ての数値データをExcelファイルとしてダウンロードすることもできる(連絡先情報の登録が必要)。

(了)