今回のテーマは、2023年5月19日から21日、広島で開催したG7(先進国首脳会議)。ゼレンスキー大統領が急遽訪日し、ウクライナへの支援を訴えるなど、戦争と平和を象徴する国際文化都市の広島で、世界が直面している多くの危機対応について議論が交わされました。日本政府によるG7の公式ホームページを中心にみていきましょう。

前回に引き続き 赤字の単語は、英語検定準1級レベル。

1. We, the Leaders of the G7, met at a historical juncture in Hiroshima, which together with Nagasaki offers a reminder of the unprecedented devastation and immense human suffering the people of Hiroshima and Nagasaki experienced as a result of the atomic bombings of 1945.

Ministry of Foreign Affair of Japan

歴史的な転換期の中、我々G7首脳は、1945年の原子爆弾投下の結果として広島及び長崎の人々が経験したかつてない壊滅と極めて甚大な非人道的な苦難を長崎と共に想起させる広島に集った。

juncture:名詞「岐路/分岐点」。類義語:junction「交差点」。

unprecedented:形容詞「前例のない/全体未聞の」。devastation:名詞「破壊/壊滅」。immense:形容詞「巨大な/甚大な」。それぞれの接頭辞に注意。un「反対/否定」:「前例の(precedented)」+「-ない(un)」。de「強調/反対/悪化」:「徹底的に悪化した-(de-)」+「広大な場(vastation)」。im「反対/非/対」:「測れ(mense)」+「-ない(im-)大きさ」

 

2. The G7 Summit is an international forum held annually for the leaders of the G7 member states of France, the United States, the United Kingdom, Germany, Japan, Italy, and Canada (in order of rotating presidency), and the European Union (EU).

G7 Hiroshima Summit Official HP

G7サミット(主要国首脳会議)とは、フランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリア、カナダ(議長国順)の7カ国及び欧州連合(EU)の首脳が参加して毎年開催される国際会議だ。

In order of :~の順序で。rotating presidency:名詞「議長輪番制」。言い換え:revolving presidency。輪番制は、1975年にフランスを最初の議長国としてサミット(6カ国)が開催され、その後、フランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリアの順に毎年輪番制で行っている(戦勝国から敗戦国の順序になっている)。president:名詞「議長」。組織のトップの意味を指す。presideは動詞で“(人々/組織の)pre(前に立つ)-side(側)”のニュアンスで「主宰する/司会する」という意味になる。

 

3. Prime Minister Kishida states that as the world is facing an unprecedented crisis by aggression against Ukraine and the growing risk of use of weapons of mass destruction, at the G7 Hiroshima Summit in 2023, Japan would like to demonstrate G7's strong determination to categorically deny military aggressions, any threats of nuclear weapons, as well as attempts to overthrow the international order with historical significance.

G7 Hiroshima Summit Official HP

岸田首相は、世界がウクライナ侵略、大量破壊兵器の使用リスクの高まりという未曾有の危機に直面している中、日本が議長を務める2023年のG7サミットでは、武力侵略も核兵器による脅しも国際秩序の転覆の試みも断固として拒否するというG7の意思を歴史に残る重みを持って示したいと述べている。

unprecedented:形容詞「前例のない/全体未聞の」。aggression:名詞「(不当な)侵略」。military aggressions:武力侵略。weapons of mass destruction:大量破壊兵器。international order:国際秩序。

 

4. G7 leaders pledge to work for peace at Hiroshima museum.

NHK , May 20 

G7の各首脳は、広島の平和記念資料館で平和に取り組むことを誓った。

Pledge:名詞「誓約」 pledge to ~:動詞「~を誓約する/誓う」 pledgeを名詞とした場合、make a pledge to~でも同様の意味になる。Hiroshima museum:Hiroshima Peace Memorial Museum. ※例文は、記事の見出しのために省略されている。

 

5. Ukrainian President Volodymyr Zelensky laid flowers on Sunday at a memorial in Hiroshima to victims of the 1945 US atomic bomb attack, in a sombre and highly symbolic moment. 

AFP, May 23rd

ウクライナのゼレンスキー大統領は、(5月21日の)日曜日、物憂げで重い雰囲気の中、広島の原爆死没者慰霊碑に献花した。

Ukrainian President:英語では役職が名前の前につくことが多い。PresidentのPが大文字であることにも注意。例文2の中で、岸田総理もPrime Minister Kishidaと役職➡名前の順となっている。lay flowers:花を置く/献花する。 somber:形容詞「物憂げな/悲しい」。

 

6. U.S. President Joe Biden announced new military aid worth $375 million for Ukraine, saying the U.S. would provide ammunition and armored vehicles. That pledge came after the U.S. agreed to allow training on American-made F-16 fighter jets, laying the groundwork for their eventual transfer to Ukraine.

Huffington Post, May 21st

米国のバイデン大統領は、ウクライナに弾薬や装甲車など3億7500万ドルの追加軍事支援をすると表明した。この誓約は、ウクライナに米国製のF16戦闘機の供与とその戦闘機の基礎訓練の容認に追って発表された。

ammunition:名詞「弾薬」。Pledge:名詞「誓約」。 armored vehicles:装甲車。lay the groundwork:基礎固めをする。

 

7. The Group of Seven summit in Hiroshima concluded Sunday with Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy making his case to world leaders for further support in Kyiv's bid to repel Russia's invasion, comparing the devastation in his country to that of the atomic bombing of Hiroshima.

Japan Times, May 21st

広島でのG7サミットは、最後にウクライナのゼレンスキー大統領が、ヒロシマの原爆被害と自国の激戦の惨状を重ね合わせ、ロシアの侵略に立ち向かうキエフの奮励にさらなる支援を世界の首脳に対して主張することで閉幕した。

The Group of Seven:「G7」の正式名称。making his case to~: ~に対して、主張する。bid:名詞「努力/成し遂げようとする試みや行動」。repel:動詞「撃退する」。

 

おまけ

例文の3に出てきたaggression:「侵略」という言葉。一般的には “Invader Game”などで知られる、invasionという言葉の方が、日本人の私たちにとっては馴染みがあるかもしれません。aggressionとinvasionを比較した場合、invasionは「攻め込んで他国に入る」=「侵攻」のニュアンスが強いようです。

実は日本政府がロシアの軍事行動について発言する際に、2022年の2月下旬頃を境としてinvasion(侵攻)からaggression(侵略)という言葉に意識的に変更しており、英語のプレスリリースも明確に使い分けています。

ただし、欧米のニュース番組では、現在も普通にUkraine invasionという言葉も使っており、一般口語レベルではそこまで厳密に使い分けなくても特に問題はないようです。