G7広島サミットから読み取るべき情報とは(イメージ:写真AC)

企業も刮目すべきG7広島サミット

経済安全保障を考慮した経営戦略を検討する際に、必要不可欠な情報が国際情勢であることは疑いようがない。今まさにG7広島サミットが開催されようとしている。関係会議や周辺を含めさまざまな動きがあり、読み解くべき情報は豊富にある。ほんの一部だが、要点と思われる事項に触れていきたい。

まず、フランスのマクロン大統領の物議を呼んだ発言だ。「欧州連合(EU)は米国の政策に追随すべきでない」と主張し、台湾有事を「われわれの危機ではない」と位置付けた。案の定、欧米各国から批判が集中し、弁明が行われている状況である。

経済的互恵関係を強化することが、国家間の対立構造を改善するわけではないという事実(イメージ:写真AC)

マクロン大統領は直前に中国を訪問、しかも大規模なビジネス代表団を同伴させている。これは経済的な利益を創出する目的だけでなく、経済的互恵関係のさらなる強化により、専制主義的な強硬姿勢、力による現状変更、ジェノサイドとまでいわれる人権問題などに改善を促すことができるという考えにもとづくとの解釈もあるかもしれない。

しかし、その考えは「明らかな幻想」であり、明確に切り替える必要があるとの認識に立っているのが、西側諸国の基本スタンスではなかったか。

どちらのスタンスが正しいかという問いに対する答えは、この先の未来が決めることであり、結果を待つ以外にない。しかし、過去の歴史から「明らかな幻想」であったとの反省がなされている現実があることは認める必要がある。

その上で、さらなる互恵関係の強化が過去の歴史をも塗り替える最善策だとの主張はあり得る。ただしその場合、歴史の反省事項を今後の互恵関係強化にて改善させる論理性のある説明責任が最低限必要になるだろう。その説明はまったくない。

自分は変えられても相手を変えることはできないという現実に立脚すれば、このことの是非は問えないだろうが、民間企業が学ぶことはできる。何かというと、西側諸国の足並みを乱し、分断を生みかねない発言や行為には批判が高まるという明確な事実だ。この事実をリスクとして認識し、それを凌駕する説明責任が果たされなければ、長い目で見ればマーケットは背を向けるのではないだろうか。