個人の状況に応じて業務をマッチングさせる
第16回:健康経営における高年齢労働者(4)
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2023/03/08
ウイズコロナ時代の健康経営
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
日本では、少子高齢化が急速に進み人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するためにも、働く意欲を持つ高齢者の活躍が求められています。一方、高齢者は、筋力や敏捷性などの体力が低下しているため、職場における安全配慮の観点から国は「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(以下、「ガイドライン」)を策定しています。
このガイドラインにおいて、企業は自社における高年齢労働者の就労状況や業務内容などの実情に応じて、次の5つの事項に取り組むことが求められています。
1)安全衛生管理体制の確立等
2)職場環境の改善
3)高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
4)高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
5)安全衛生教育
これまで「安全衛生管理体制の確立等」「職場環境の改善」および「高年齢労働者の健康や体力の状況の把握」について説明しましたが、今回は「高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応」と「安全衛生教育」について解説します。
高年齢労働者は加齢によって、徐々に健康や体力が衰えてくるとされており、その状況に応じて、労働時間を短縮する、深夜の業務回数を減らす、あるいは作業を転換するなど、就業上の措置を講じることが求められています。健康や体力の状況を踏まえて講じる措置は、次の点を考慮します。
高年齢労働者に適切な就労の場を提供するため、職場における一定の働き方のルールを構築するよう努めることになりますが、その際、留意するべき点があります。
それは、高年齢労働者の健康や体力の状況は高齢になるほど個人差が拡大するとされていることです。つまり、それぞれの労働者の健康や体力の状況に応じて、安全と健康の面で適合する業務を高年齢労働者とマッチングさせることが重要です。それぞれの労働者の状況に応じた対応を行う際は、次の点も認識しておきましょう。
企業は、高年齢労働者が心身両面にわたり健康を保持増進できるように取り組みを進める必要がありますが、具体的には次のような取り組みが考えられます。
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