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最近、海外では企業が政治的な話題に関与することが増えてきています。

米ディズニーは「Don't Say Gay(ゲイと言ってはいけない)法案*1」に反対したことで、代償を払うことになりました。

ABC Newsは2月27日、フロリダ州のロン・デサンティス知事が、ウォルト・ディズニー・ワールドの自治区を支配する法案に署名し、「Don't Say Gay(ゲイと言ってはいけない)法案」に反対したことで同社を罰することにしたと報じました。

今多くの消費者が、企業が社会的な課題について発言することを期待するようになりました。しかし一方で、企業が政治的な話題に関与するリスクが高まっています。

米国の消費者を対象にした最新の企業調査「Axios Harris Poll 100」によると、政治的危機への対応が遅い企業、一貫性のない対応をとる企業は消費者からの信頼を失い、苦戦しています。

「Don't Say Gay(ゲイと言ってはいけない)法案」が提案された当初、米ディズニーはしばらく沈黙を保ち、法案に対する立場を明らかにしていませんでした。しかし、法案に賛成した議員に寄付をしていたことが明らかになり、社内外から不誠実だという抗議の声が高まります。この事態にCEOのボブ・チャペック氏は、従業員向けのメールで政治的な寄付を停止することを発表し、法案に対する立場を明示しなかったことについても謝罪しました。これに伴い、ディズニーの従業員たちは、2022年3月22日にオーランドやニューヨーク、アナハイム、そしてバーバンクで法案反対のデモを行いました。


【邦訳】
「Disney+はLGBTQIA+の従業員、同僚、家族、語り手、そしてファンと共に立ち、LGBTQIA+コミュニティの基本的人権を侵害する法案を強く批判します。若い人やその家族を傷つけるような法案であるときは尚更です」

その後、法案は成立し米ディズニーは賛成派、反対派どちらからもマイナスの印象を持たれてしまいます。

当時は、政府が一企業の言論を罰するためにあからさまな行動を取るとは誰も想像していなかったでしょう。政治的な話題で立場を表明することは、リスクが伴います。もし他の企業が同じことをしようとするとき、悲観的なシナリオも描き、そのリスクをヘッジする必要があると同時に、何があっても自社の立場を貫く覚悟を持つことが重要です。

*1:2022年1月に米フロリダ州で可決された、子どもたちが学校で、性的指向や性自認、LGBTQ+に関する議論を行うことを禁止する法案。初等教育(幼稚園〜小学三年生まで)における性的指向や性自認に関する学校での議論や、生徒の年齢や発達に見合わない議論を厳しく制限する。これに違反した場合、親は学校や教師を訴えることができるという。