アンケート調査は、6月22日~29日までの1週間、リスク対策.comのメールマガジン購読者で、今回の地震で震度5弱以上を観測した自治体に何らかの自社施設を有する企業を対象に行い、148の有効回答を得た(全回答173のうち、震度5弱以上を観測した自治体に自社施設がないとした回答などは除いた)。
 回答企業は、上場企業と非上場企業がほぼ半数で、企業規模では1000人以上の企業が約6割を占めた。業種別では製造業が35%と最も多く、次いで情報通信業および卸売・小売業(それぞれ13%)、サービス業(9%)と続く。また、今回の地震で震度5弱以上を観測した地域(市町村)にある自社施設は、支社・支店が63%と最も多く、次いで営業所・販売所が30%、本社・本店があるとした回答は22%だった。

 

6月18日(月)に大阪北部で発生した地震に関する企業へのアンケート調査で、回答者(有効回答数148)のうち「BCPを策定している」とした企業(回答数126)に対して、BCPが十分に機能したかどうかを聞いたところ、「まったく機能しなかった」との回答はほぼなかったものの、「十分に機能した」との回答も20%未満にとどまった。そもそも今回の地震は「BCPの発動に至らなかった」との回答も20%近くあったが、それでも地震後の対応に何らかの課題があったことをうかがわせる結果となった。

質問では、BCPが「まったく機能しなかった」をレベル1、「十分に機能した」をレベル5として、回答者に、あてはまるレベルを1~5の中から選択してもらった。その結果、レベル1の「まったく機能しなかった」はわずか1.6%だったものの、レベル2は14.3%、レベル3は23.8%で、十分に機能しているとは評価できないと思われる回答も多かった。一方、レベル4(21.3%)とレベル5(19.1%)を足すと全体の約4割で、BCPが機能したかどうかについての評価は、企業によって大きく分かれることが分かった。

そこで、BCPの構築状況(※)別にレベル1~レベル5の平均値を算出してみると、「BCPを策定し定期的に訓練、見直している企業」については、そうでない企業に比べ、より、機能をしたと感じている傾向が浮かび上がった。

※BCPの構築状況
「1.BCPは策定していないし、策定する予定もない」「2.BCPは策定していないが策定中・策定予定」「3.BCPは策定したが一度も見直していない」「4.BCPを策定し、非定期ではあるが見直し訓練を実施している」「5.BCPを策定し定期的に訓練・見直しを実施している」の5段階の中から選んでもらった。

 

写真を拡大 アンケート時におけるBCPの実効性の評価について
写真を拡大 BCPの構築状況別に実効性の評価を算出。BCPを定期的に訓練・見直しをしていた企業は、高い評価をしていることがわかる

次回以降、大阪北部地震で企業がどのような被害を受けたかを解説する(続く)。

第1回:BCPの構築レベルによって課題に格差

<本調査結果のサマリーは、7月10日より無料ダウンロードいただけるよう準備を進めております。また8月上旬には今回の地震に関するセミナーを開催する予定です>