2024/02/19
令和6年能登半島地震

元日に発生した能登半島地震で、北陸地方などに自社施設があり、かつBCPを策定していた企業のうち、「BCPが機能した」と感じている企業は、半数以下にとどまることが、リスク対策.comが実施したアンケート調査で明らかになった。従業員の規模別に分析したところ、従業員数1001人以上の企業では67.3%がBCPが機能したと感じているのに対し、100人以下の企業では29.4%と大きく差が開いた。中小企業では、もともとBCPの策定率が大企業に比べ低いが、今回の調査では、BCPが実際に機能すると感じる「実効性」についても、大企業に比べ低い可能性があることを示唆するものとなった。
調査は1月24日~2月2日までインターネット上で実施。①リスク対策.comのメールマガジン購読者、および、②インターネット調査会社のアンケートシステムに登録している回答者のうち、北陸4県(新潟県、富山県、石川県、福井県)に在住の経営者を対象に行い、①②を合わせて計470件の回答を得た。このうち、北陸4県もしくは、能登半島地震において震度5弱以上の揺れを観測した地域に、本社や支店、営業所など何らかの自社施設を有するとした回答だけを抽出し、さらに、回答者自身が「経営者として危機管理担当に責任を持つ立場」もしくは「経営者以外で危機管理担当者として責任を持つ立場」の回答だけを採用し、計250件を有効回答として分析した。
本文中のグラフについては、構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない場合がある。
回答企業の属性
回答企業の従業員数は【図表1】が示す通り。従業員規模は50人以下が50%で最多で、業種は製造業が27.2%で最も多かった。本社所在地は新潟県が25.6%、東京が23.2%だった。北陸4県、または能登半島地震で震度5弱以上の揺れを観測した地域にある自社施設は、本社・本店が60%と最も多く、次いで営業・販売所が29%、支社・支店が23%と続いた。北陸4県の回答者は50人以下の中小企業の経営者が多かった。

回答企業のBCPの運用状況は、 「BCPを策定していないし、策定する予定もない」が29%、「策定中・策定予定」が20.4%、「策定したが一度も見直していない」が9%、「策定し、非定期的に見直している」が21.7%、「策定し、定期的に見直している」が19.9%で、策定済みが全体の50.6%を占めた。従業員規模別に見ると、100人以下の企業ではBCPの策定率は22.4%、101人~1000人の企業では71.7%、1001人以上の企業では89.8%だった【グラフ1】【グラフ2】。


独自調査の他の記事
おすすめ記事
-
DXを加速するには正しいブレーキが必要だ
2月1日~3月18日は「サイバーセキュリティ月間」。ここでは、企業に押し寄せているデジタルトランスフォーメーション(DX)の波から、セキュリティーのトレンドを考えます。DX 時代のセキュリティーには何が求められるのか、組織はどう対応していくべきか。マクニカ ネットワークスカンパニー バイスプレジデントの星野喬氏に聞きました。
2025/03/09
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/03/05
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/04
-
-
-
トヨタが変えた避難所の物資物流ラストワンマイルはこうして解消した!
能登半島地震では、発災直後から国のプッシュ型による物資支援が開始された。しかし、物資が届いても、その仕分け作業や避難所への発送作業で混乱が生じ、被災者に物資が届くまで時間を要した自治体もある。いわゆる「ラストワンマイル問題」である。こうした中、最大震度7を記録した志賀町では、トヨタ自動車の支援により、避難所への物資支援体制が一気に改善された。トヨタ自動車から現場に投入された人材はわずか5人。日頃から工場などで行っている生産活動の効率化の仕組みを取り入れたことで、物資で溢れかえっていた配送拠点が一変した。
2025/02/22
-
-
現場対応を起点に従業員の自主性促すBCP
神戸から京都まで、2府1県で主要都市を結ぶ路線バスを運行する阪急バス。阪神・淡路大震災では、兵庫県芦屋市にある芦屋浜営業所で液状化が発生し、建物や車両も被害を受けた。路面状況が悪化している中、迂回しながら神戸市と西宮市を結ぶ路線を6日後の23日から再開。鉄道網が寸断し、地上輸送を担える交通機関はバスだけだった。それから30年を経て、運転手が自立した対応ができるように努めている。
2025/02/20
-
能登半島地震の対応を振り返る~機能したことは何か、課題はどこにあったのか?~
地震で崩落した山の斜面(2024年1月 穴水町)能登半島地震の発生から1年、被災した自治体では、一連の災害対応の検証作業が始まっている。石川県で災害対応の中核を担った飯田重則危機管理監に、改めて発災当初の判断や組織運営の実態を振り返ってもらった。
2025/02/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方