従業員の不安解消へ企業が推奨すべきこと
第3回:在宅勤務が与えるメンタルヘルスへの影響

本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2022/02/09
ウイズコロナ時代の健康経営
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
連載の第1回、「今、なぜ健康経営か」では、企業が新型コロナウイルス感染症の流行で導入した在宅勤務の課題を取り上げ、具体的には「従業員のメンタルヘルスへの影響」「従業員の身体面への影響」そして「防災・減災への対応」を例としてあげています。
実際、企業の人事・総務部などに所属する担当者を対象としたアンケート(2020年6月16日~29日、複数回答可)では「従業員の健康について認識している課題」として「メンタルヘルス」が80%、「運動不足」が77%、そして「睡眠不足」が63%など、メンタルヘルスおよび身体面への影響が上位を占めています(「健康経営の推進について」令和3年10月、経済産業省ヘルスケア産業課)。
今回は、新型コロナウイルス流行下での健康問題のうち、メンタルヘルスについて考えます。
新型コロナウイルス感染症の流行長期化は、自分が感染者や濃厚接触者になるかもしれないという不安、感染予防策をいつまで続けなくてはいけないのかという不安、そして変異ウイルスによる再流行への不安など、さまざまな要素が絡み合っています。
感染症の流行が長期化することによる漠然とした不安は、未知の感染症に対する正常な反応とも言えますが、それに加えて、在宅勤務を続けることによって起こる上司や同僚とのコミュニケーション不足が、さらなるメンタルヘルスの不調につながります。
在宅勤務では、お互いが別の場所で仕事をしていることから、業務上のコミュニケーションは、メールなどテキストベースのものが中心となります。
また、新型コロナウイルス感染症の流行以前は、従業員が同じ職場にいることで、業務以外の会話が交わされる機会も多くありました。例えば、コピーの順番を待ちながら、あるいは廊下ですれ違う際に立ち話をするなどのコミュニケーションがありましたが、このような場面は在宅勤務では起こり得ません。
特に一人暮らしの場合は、ほとんど他人と関わることがなくなり、ストレスフルな状況になる可能性が高いと考えられます。
ウイズコロナ時代の健康経営の他の記事
おすすめ記事
DXを加速するには正しいブレーキが必要だ
2月1日~3月18日は「サイバーセキュリティ月間」。ここでは、企業に押し寄せているデジタルトランスフォーメーション(DX)の波から、セキュリティーのトレンドを考えます。DX 時代のセキュリティーには何が求められるのか、組織はどう対応していくべきか。マクニカ ネットワークスカンパニー バイスプレジデントの星野喬氏に聞きました。
2025/03/09
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/03/05
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/04
トヨタが変えた避難所の物資物流ラストワンマイルはこうして解消した!
能登半島地震では、発災直後から国のプッシュ型による物資支援が開始された。しかし、物資が届いても、その仕分け作業や避難所への発送作業で混乱が生じ、被災者に物資が届くまで時間を要した自治体もある。いわゆる「ラストワンマイル問題」である。こうした中、最大震度7を記録した志賀町では、トヨタ自動車の支援により、避難所への物資支援体制が一気に改善された。トヨタ自動車から現場に投入された人材はわずか5人。日頃から工場などで行っている生産活動の効率化の仕組みを取り入れたことで、物資で溢れかえっていた配送拠点が一変した。
2025/02/22
現場対応を起点に従業員の自主性促すBCP
神戸から京都まで、2府1県で主要都市を結ぶ路線バスを運行する阪急バス。阪神・淡路大震災では、兵庫県芦屋市にある芦屋浜営業所で液状化が発生し、建物や車両も被害を受けた。路面状況が悪化している中、迂回しながら神戸市と西宮市を結ぶ路線を6日後の23日から再開。鉄道網が寸断し、地上輸送を担える交通機関はバスだけだった。それから30年を経て、運転手が自立した対応ができるように努めている。
2025/02/20
能登半島地震の対応を振り返る~機能したことは何か、課題はどこにあったのか?~
地震で崩落した山の斜面(2024年1月 穴水町)能登半島地震の発生から1年、被災した自治体では、一連の災害対応の検証作業が始まっている。石川県で災害対応の中核を担った飯田重則危機管理監に、改めて発災当初の判断や組織運営の実態を振り返ってもらった。
2025/02/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方