岸田新総裁が内閣総理大臣に指名され新内閣が発足。写真は10月4日の記者会見(提供:電気新聞)

9月29日、岸田文雄氏が自民党新総裁に選ばれ、10月4日から新内閣が発足しました。「新総裁」としての最初の記者会見は投票結果が出た9月29日18時から行われました。回答が難しい質問について岸田新総裁はどう対応したのでしょうか。筆者が着目した3つの質疑応答を解説します。冒頭スピーチは6分。残りは質疑応答にあてられ、配分も考えられていたと思います。

手厳しい質問をシンプルに回答

最初は投票結果の内容について。

記者
「国会議員による決戦投票で当選となった。しかし、1回目の投票では、岸田氏は、党員票110票と議員票146票、河野氏は、党員票169票と議員票86票。国民により近い党員票では河野氏を下回っている。これで国民の理解を得られたと思うか」

岸田新総裁
「河野氏が党員票で上回ったことについてご質問があった。決戦投票では過半数をいただいた。私はルールに従って選ばれた。多くの皆様からの理解は得られると思っている」

投票結果にはシンプルに回答(写真:写真AC)

党員と国会議員の認識ギャップを指摘するなかなか手厳しい質問です。ここは投票の過程を淡々と説明したシンプルな回答で乗り切りました。困った質問にはシンプルに回答する、これはある意味基本です。説明を多くするとその分新たなリスクとなるためです。

2番目の注目は、森友問題の説明責任。

記者
「安倍・菅政権では説明が足りないと言われてきた。その象徴が森友問題。選挙戦で岸田さんは、国民の声が届いていない、と繰り返し訴えていた。また、先ほどは生まれ変わった自民党、と述べたがどのように生まれ変わるのか」

岸田新総裁
「説明責任についてご指摘があった。ていねいで寛容な政治を行うことを掲げてきた。しっかり取り組んでいきたい。森友問題について、行政での調査と報告書がある、司法においては民事裁判が進んでいる。国民が望むなら政治の立場からの説明が必要。何より大切なのは公文書管理のあり方。改ざんの再発防止をするのが、政治の責任であり、結果を出すべきだと認識している」