2021/06/09
非IT部門も知っておきたいサイバー攻撃の最新動向と企業の経営リスク
長期的に持続可能であるアピール
ESGによって役員や取締役(D&O)への賠償といった問題へ発展する可能性もある。 これを踏まえ2020年6月にUNEP(国連環境計画)によって発行された、保険業界向けのESGガイド*6がサイバーリスクについて考える上でも参考となるため最後に紹介しておきたい。
このガイドでは、次の4つを主要原則として紹介している。
・意思決定にESGの問題を組み込む。
・クライアントやビジネスパートナーと協力してESGの問題に対する認識を高め、リスクを管理し、ソリューションを開発する。
・政府、規制当局、およびその他の主要な利害関係者と協力し、ESGの問題に関する社会全体での広範な行動を促進する。
・原則の実施における進捗(しんちょく)状況を定期的に公表し、説明責任と透明性を示す。
サイバーリスクの状況は日々変化しており、多様で相互に関連した複雑なリスクへとつながっている。まずは事業上のリスク要因を明確にし、これらへの説明責任を果たせるようにする。そして、対応の優先順位を付けることで迅速な対応と被害の最小化へ備える。このことによってコストセンターとして捉えられがちなサイバーセキュリティーを、長期的に持続可能であることをアピールする機会へと発展させていくことも可能だろう。
出典
*1 "What companies are disclosing about cybersecurity risk and oversight"
*2 https://www.sec.gov/rules/interp/2018/33-10459.pdf
*3 https://sec.report/Document/0001104659-21-034789/
*4 "Cyber Events Could Pose Material Risk to Water, Sewer Utility Credit"
*6 https://www.unepfi.org/psi/the-principles/
本連載執筆担当:ウイリス・タワーズワトソン Cyber Security Advisor, Corporate Risk and Broking 足立 照嘉
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
非IT部門も知っておきたいサイバー攻撃の最新動向と企業の経営リスクの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/04/05
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
Form 8-Kは、米国で株式公開企業に提出が義務付けられている開示様...