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医療機関BCPへの取り組み 
東日本大震災の教訓から、医療機関のBCPの早期策定は、大きな課題の1つだった。2013年3月、高知県は東京海上日動リスクコンサルティングに依頼し、「高知県医療機関災害対策指針」を作成。その中で医療機関のBCP策定方法について掲載した。専門のリスクコンサルティング会社に依頼した理由は、医療機関のBCPには高度なノウハウが不可欠だからだ。 

災害時には、医療機関はリソースが不足する環境の中で、通常より多くの業務の実施が求められる。県の地震対策も、医療機関がBCPにより医療行為を継続させることを求めている。一方で、医師や看護師、医療従事者とさまざまな職種が存在する医療施設は、それぞれの専門的な立場が複雑に入り組むため、連携が難しいとされている。 

「それでも、目的意識をはっきりと持ってもらい、災害対策には防災だけでなくBCPの必要性を認識してもらうと、非常にレベルの高いアウトプットが出てくる」と東京海上日動高

知県事業継続計画策定推進プロジェクト担当課長の久保田晋爾氏は話す。 

同社は災害拠点病院や救護病院など、災害時に拠点となる病院のBCP策定から取り組みを進めており、現在8病院を支援している。

中長期的には成果 
東京海上日動はもともと全社的にCSRに対して積極的に取り組んできた企業だ。同社は国内の環境保護活動や海外でマングローブの植樹などを行うほか、高知県内では、県、安芸市、高知東部森林組合と協定を結び、森林保全活動を実施している。ピンクリボン*やスペシャルオリンピックス(知的障がいのある人たちへスポーツを通じた支援を行う組織)へも協賛するとともに、国内大会においては毎回多くの社員がボランティアとして参加するなど、その活動の幅も広い。高知支店でも、県内の小学校へ地震や環境保護についての出前授業を行っている。CSRへの取り組みは同社の企業風土と言えるだろう。 

それでも、BCP策定の無料支援は勇気のいる決断だったという。BCP策定は協賛やボランティア活動と違い、通常業務の中で多大な人数と労力を必要とする。それでも続けているのは「短期的な売上につながることはないが、地域に貢献することで、経営者との強固な信頼関係ができるなど、長期的に見て意義があると考えている」(古谷氏)。 

現在ではBCP策定支援の取り組みも4年を超えた。同社本社でも活動が認知され、長野県、群馬県、宮崎県、熊本県とも同様の活動がスタートしているという。


BCP策定企業を50%に 


当面の目標は、来年度末に県内の従業員50人以上の事業者の50%にBCPを策定すること。2013年10月に県が行ったアンケート結果を見てみると、BCP策定済みの会社こそ21.9%だが、策定中が23.7%と着実に成果を上げていることが分かる。そのほかの項目を見ても、「必要性は認識しているが、未策定」が48.4%あり、アンケートに答えた9割以上の企業がBCPの必要性を認識している結果になった。内閣府の2013年度調査では、全国の中小企業のうち「BCP策定予定はない」が24.8%、「BCPが何か知らなかった」が17.3%だった。 

まだ目標は達成していないものの、高知県のプロジェクトは着実に成果を上げていると言える。

※乳がんの正しい知識を広め、乳がん検診の早期受診を推進することなどを目的として行われる世界規模の啓発キャンペーン