新型コロナ感染症にも対応する新たな複合災害対策本部のあり方とは(写真:写真AC)

1.複合災害BCPの構築

新型コロナウイルスのワクチン接種が米英などから始まり、日本でも今春から医療従事者、高齢者、エッセンシャルワーカー等、順次展開されていくと言われています。ただ、一般国民に広くワクチンが届くにはまだ1年程度かかりそうで、コロナ禍の終焉は、現時点では見えてきません。

このような状況において、日本企業における危機管理上の最重要課題である「地震」や「自然災害」は、コロナ終息を待ってくれるはずもなく、全ての企業や法人、組織にとってコロナとの「複合災害」に対する備えは喫緊の課題です。

すでに多くの大企業が震災BCPを構築済みで、サプライチェーンや取引先の中堅中小企業にも大企業並みのBCPと対応策を求める圧力がこの数年強まっています。しかし、昨年発生した新型コロナウイルス感染症BCPにも対応した「複合災害」としてのBCPを構築できている企業はほとんどありません。

危機管理担当部門はこのコロナ対応で四苦八苦しており、震災BCPや自然災害BCPの訓練ができず、PDCAもままならずに、マニュアル類は塩漬け状態という企業が多く存在しています。一方でコロナ禍での強い不安感から、同時に起こる可能性が高い震災や自然災害に危機意識を感じ、複合災害BCPへの取り組みの動きを見せる企業も出始めています。

画像を拡大 [図1]複合災害BCP構築時のポイント