2017/09/28
防災・危機管理ニュース
東京都は27日、「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化促進に向けた検討委員会」の第4回会合を開催した。災害時に物資輸送で重要な緊急輸送道路沿道の建築物で、耐震性を満たさない建築物について2016年に訪問を行い調査。建物種別では分譲マンションの建て替えの意欲が低いことがわかった。今後、耐震化へ建物用途ごとに検討すべき課題を設定する方針。
緊急輸送道路沿道の建物が耐震化していない状態で地震が起こった場合、道路側に建物が倒れると道路が閉塞し輸送に困難が生じる。6月末時点での対象建築物の耐震化率は83.6%。2016年に訪問し所有者などにヒアリングを行った1063棟のうち、耐震改修などの実施予定について「耐震改修を予定」が21%、「建て替え・除却を予定」18%、「実施しない」53%、「未定・不明」7%。分譲マンションは「実施しない」62%で、「建て替え・除却」が9%とほかの建物種類と比較して建て替え意欲が低い。改修も含め区分所有者の費用負担や合意形成が困難なことが理由として挙げられている。
この日はマンションや店舗など賃貸建築物について主に議論。賃貸については改修へオーナーの負担や賃借人との合意などが障害となっている。出席した委員からは賃借人・テナント対策や、耐震化を行ったことのないオーナーへの支援、成功事例の研究などが要望として挙げられた。
分譲マンションでは600棟以上、賃貸建築物では1000棟以上が耐震化の必要がある。都では所有者に耐震化への意欲を持たせ、課題を1つずつ解決するステップ図を提示。今後、建物用途ごとに検討すべき課題を設定し、解決策を探っていく。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方