写真を拡大 (出典:Airmic / Top Risks and Megatrends 2020)

リスクマネジメントや保険に関する業務に従事している人々による非営利団体であるAirmic(注1)は、世界的なリスクの潮流を知るために会員を対象として行った調査の結果を毎年公表しており、その2020年版が「Top Risks and Megatrends 2020」として7月1日に発表された。

調査に当たっては、まず2020年2月14日から3月31日までの間にアンケート調査を実施し、Airmic会員のうち150人から回答を得ている。またこれに続いてAirmic会員による円卓会議や個別インタビューから定性的な意見収集が行われている。

本稿のトップに掲載した図は、会員の中で特に懸念されているリスクの上位16位までを、上から順に並べたものである。実は報告書に掲載されている図では25位まで表示されているが、レイアウトの都合により16位までで図を分割させていただいた。17位から25位は図1のようになっている。それぞれのマスの右下にある数字は、それぞれのリスクに対する回答者の懸念度合いを 5段階で表示したものである(最も懸念されるものが5)。

図が小さくて読みにくいと思われるが、上位10位までは次の通り。

1. サイバー攻撃による事業中断
2. データ漏えいによる、罰金およびレピュテーションの低下
3. 経済の見通し
4. 進化していくデジタル関連の規制への適合
5. 法規制の不確実性(例えばBrexitなど)
6. ITの途絶
7. フィッシング詐欺や不正の被害者となること
8. 規制への不適合(例えばフォルクスワーゲンのスキャンダルなど)
9. ソーシャルメディアにおける活動(例えば#MeToo運動など)に関連するレピュテーションの低下
10. 処罰や規制、賄賂や腐敗への対策活動、反マネーロンダリング活動の増加

写真を拡大 図1. Risks and megatrendsの17位から25位(出典:Airmic / Top Risks and Megatrends 2020)

また、色分けの意味は図1の下の方に示されている通りで、紫色がサイバーセキュリティーおよびIT、赤色が地政学的リスク、黄色がガバナンスや法規制、グレーが信頼やレピュテーション、緑色が気候変動および環境というカテゴリー分けとなっており、この図に続いて各カテゴリー別の解説が記述されている。