2020/06/10
テレワーク時代のデジタルBCP基礎講座
5つの観点でリスクを整理
社内専用PCを利用する環境が社内から社外に変わることで、どのようなリスクの変化があり、どのような注意を払わないといけないのだろうか? 5つの観点から考えてみる。「移動範囲」「PC操作者」「利用デバイス」「ネットワーク」「コミュニケーション」である。

1. 移動範囲
社内専用PCを自宅に持ち帰ってテレワークを行う場合、会社から自宅へのPCの運搬、自宅での保管、サテライト環境での利用、自宅から会社へのPCの運搬などを考慮しなければならない。
特に運搬の際には、盗難や紛失といったリスクがある。PCが盗難・紛失に遭った場合、PCにログインされて情報を盗まれる、PCからHDDやSSDを抜かれて情報を盗まれるといったことが発生する。カフェやホテルなどのサテライト環境での利用を許可する場合も、同様のリスクがある。
PCはパスワードでロックされているのか? HDDやSSDは暗号化されているのか?を確認・徹底するとともに、運搬には電車・バス・タクシーを利用するのか、配送業者に依頼するのか?など決めておかなければならない。
2. PC操作者
自宅などでテレワークを行う場合、従業員以外の人物がPCに触る可能性がある。そのため、「1. 移動範囲」でも記載したが、第一にPCのパスワードによるロックは必須だ。
それ以外にも注意を払うべきことがある。「ショルダーハッキング」という手法である。PCにログインする時のキーボード操作を背後から盗み見てパスワードなどの情報を窃取し、後でPCにログインする、または、背後から画面に表示されている業務情報を盗み見るという行為だ。
家族だから大丈夫なのかというと、そうでもない。例えば、芸能関係の情報や国家機密、新製品情報など、家族としても興味がある。こういった情報を家族が手に入れ、SNSや会話の中で情報をうっかり漏らしてしまうかもしれない。情報の漏えいは、特にSNSであればすぐに発覚し、場合によっては賠償問題につながる。家族でなくても、従業員自身がスマートフォンで機密情報に関する書類やPC画面を撮影し、それをSNSに投稿するといったことも十分に考えられるだろう。
印刷も気を付けなくてはいけない。印刷物をどこかに置き忘れてしまったり、そのままゴミに出してしまったりすることで、家族だけではなく第三者にも情報を知られてしまう可能性がある。テレワーク時の印刷は、原則行わないようにすることをお勧めする。
3. 利用デバイス
PCにはあらゆるデバイスを接続できる。USBメモリーや外付けHDDなど外部デバイスの利用を禁止している企業・団体は多いと思うが、スマートフォンのUSBケーブル接続やBluetooth接続についてはどうだろうか。そこまでは禁止していないという企業・団体もあるだろう。
テレワーク中は、原則外部デバイスの利用はしない方がいいだろう。外部デバイスを利用すると、情報の持ち出しができてしまい、その外部デバイスを紛失する可能性がある。また、私物PCやスマートフォンなどを利用することでマルウェア感染の可能性が高まることも考えられる。
また、「2. PC操作者」でも記載したように印刷はリスクがあるため、プリンターについても原則利用を禁止することをお勧めする。
テレワーク時代のデジタルBCP基礎講座の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/01
-
-
-
-
-
全社員が「リスクオーナー」リーダーに実践教育
エイブルホールディングス(東京都港区、平田竜史代表取締役社長)は、組織的なリスクマネジメント文化を育むために、土台となる組織風土の構築を進める。全役職員をリスクオーナーに位置づけてリスクマネジメントの自覚を高め、多彩な研修で役職に合致したレベルアップを目指す。
2025/03/18
-
ソリューションを提示しても経営には響かない
企業を取り巻くデジタルリスクはますます多様化。サイバー攻撃や内部からの情報漏えいのような従来型リスクが進展の様相を見せる一方で、生成 AI のような最新テクノロジーの登場や、国際政治の再編による世界的なパワーバランスの変動への対応が求められている。2025 年のデジタルリスク管理における重要ポイントはどこか。ガートナージャパンでセキュリティーとプライバシー領域の調査、分析を担当する礒田優一氏に聞いた。
2025/03/17
-
-
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方