Society 5.0時代に考慮すべき事業継続のためのセキュリティ
経済産業省 サイバー・フィジカル・セキュリティ対策フレームワークの考え方も交えて
株式会社日立ソリューションズ/
セキュリティエバンジェリスト
扇 健一
扇 健一
セキュリティソリューション事業部 企画本部 セキュリティマーケティング推進部 部長。1996年よりセキュリティ関連の研究開発およびインフラ構築業務を経て、情報漏洩防⽌ソリューション「秘⽂」の開発や拡販業務に従事。その後、セキュリティソリューション全般の拡販業務に従事し現在に至る。また、並行して特定非営利活動法人 日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)でのセキュリティ分野における社会貢献や早稲⽥大学グローバルエデュケーションセンター非常勤講師として活動を行う。
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内閣府によれば、Society 5.0は、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されている。これは社会において、これまでの課題をIoT、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ解析といった技術を用いて解決し、SDGsの達成も見据えて経済を発展させていくということである。またそれは、スマートシティ構想にもつながる。
経済産業省は、このSociety 5.0に合わせて産業界向けに「サイバー・フィジカル・セキュリティ対策フレームワーク」を策定している。これ以降、CPSF(Cyber Physical Security Framework)と略す。
CPSFでは、サイバー・フィジカル一体型社会においてのセキュリティを確保するために、三層構造と6つの構成要素から成る新しいモデルを提示している。「三層構造」では、産業社会を下記のように整理している。
第1層:フィジカル的な「企業間のつながり」
第2層:「フィジカル空間とサイバー空間のつながり」
第3層:「サイバー空間におけるつながり」
また、Society 5.0社会の産業界における新たな形のサプライチェーンを、バリュークリエイションプロセスとして定義し、その構成要素を「ソシキ」「ヒト」「モノ」「データ」「プロシージャ(活動・手続き)」「システム」の6つの要素に整理している。
このフレームワークは、多くの国際的なセキュリティガイドライン(NIST Cybersecurity Framework、NIST SP800-171、ISO/IEC 27001など)を参照しており、「ガバナンス」「サプライチェーンリスク管理」「資産管理」「データセキュリティ」「意識向上及びトレーニング」「保守」「セキュリティの継続的なモニタリング」など、広範囲にわたり20のカテゴリーが定められている。また、前述の「三層構造」において層ごとに想定されるセキュリティインシデント、脅威や脆弱(ぜいじゃく)性、対策要件もまとめられている。現在、ビル、電力、防衛産業、自動車産業、スマートホーム、宇宙産業など、業界ごとにこのフレームワークを参考にセキュリティ対策のガイドライン化が進められている。
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