2017/07/11
防災・危機管理ニュース
東京都は10日、第19回耐震化推進都民会議を開催。都のほか建設・不動産など各種業界団体や区市町村の関係者などが集まった。災害時に物資輸送など使われる特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震率は2016年12月現在、同年6月比0.8ポイント改善の82.7%となった。また2016年度は沿道建築物約2500棟に戸別訪問を行ったほか、今年度もその中でいまだ耐震化に未着手の約2250棟への訪問を行う。2017夏耐震キャンペーンについて活動内容も承認された。
旧耐震基準の沿道建築物の耐震診断実施率は96.1%。都からは2016年度の戸別訪問約2500棟のうち、訪問済みは約43%の約1070棟、設計など耐震化に取組中が約9%の約220棟に対し、連絡不通等が約10%の約260棟、訪問拒否等も約16%の約400棟となっている。
今年度はいまだ耐震化の取り組みに着手していない約2250棟を訪問予定。連絡不通などで未訪問の1650棟は区市町村が対応し、約600棟はアドバイザー派遣を行う。また新宿通り、昭和通り、蔵前橋通り、尾久橋通り、環八通り、小金井街道の6路線沿い約100棟については、都と区市の職員が直接訪問する。
住宅の耐震化については2016年度から防災都市づくり推進計画の整備地域内で、耐震改修助成限度額を約2倍に引き上げたほか、アドバイザー派遣も行っている。今年度からは都内全域の戸建て住宅への全戸訪問を行う区市町村に、普及啓発の支援を拡充する。
今夏の耐震キャンペーンは8月27日~9月9日まで実施。8月31日に新宿区の都議会議事堂で耐震フォーラムや耐震化個別相談会を行う。また9月には防災体験や耐震改修を行ったマンションやオフィスビルを回るバスツアーも3回行われる。このほかにも期間中、区市町村や業界団体によるイベントやセミナーが各種実施される。
耐震化推進都民会議の樋口冨雄会長(東京海上日動火災保険名誉相談役)は「首都直下地震が30年以内で70%の可能性で起こると言われている。都民の生命・財産を守るだけではなく、首都機能維持の観点からも耐震化は不可欠だ」と述べ、日頃の備えと耐震化の機運醸成の重要性を訴えた。
■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/07/10/03.html
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方