不測の事態に備えた転落防止の重要性が指摘された

国土交通省は13日、社会資本整備審議会建築分科会の建築物事故・災害対策部会の第24回会合を開催。「エスカレーターの転落防止対策に関するガイドライン」とエスカレーターの転落防止対策についての報告をとりまとめた。不測の事態を想定したうえでエスカレーターを吹き抜けに面する部分を避けての設置や、エスカレーターの横に転落防止板を付けるなどといった対策を行うようガイドラインに盛り込んだ。

2009年4月に東京・港区の複合ビルにおいて、後ろ向きで男性が下りエスカレーターの手すりに接触。体が手すりに持ち上げられ吹き抜けの2階部分から転落し死亡する事故があった。この事故を受け、2015年6月に消費者庁の消費者安全調査委員会から国交大臣にエスカレーターの安全のためのガイドラインを策定するよう意見が行われたことから、検討が行われてきた。

報告では通常の使用状態では側面から転落は生じえず、前述の事故も建築基準法令で対策を規定すべきものとまでは言えないと分析。一方で子どものいたずらや飲酒などによる判断能力低下、不注意といった不測の事態を想定する必要性があるとした。

ガイドラインでは長さが2階分以上あるようなエスカレーターは吹き抜けに面さない位置に設置する、転落防止板を設置し、さらに指を挟まないよう隙間を埋めるといった安全対策が必要と指摘。またエスカレーターの前に置き、その手すりと同じ高さの誘導手すりも有効だとした。ソフト面では進行方向の標示や音声案内、警備員や誘導員の配置といった対策を盛り込んでいる。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介