アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
GW中、各地で水難事故が相次ぎました。ふう。もうそんな季節に・・・・
いやいやいや。違うでしょう!水難事故が季節の風物詩になってはいけません。だからこそ、昨年、願いをこめて記事を書いたのに。
去年書いた以上に言うことはありません。今年もお読みいただければ幸いです。
■川の水難事故に、泳ぎのうまいへたは全く関係ない!? 海のアドバイスは川では使えません!~川遊びのライフジャケットはシートベルトと同じくらい重要~
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1917
でも、やっぱり同じ事故が起こっているので、同じ事も言わせていただきますが、あくまでこの記事は、上記記事をしっかり読んだ人の復習&応用編です。エビデンスは上記記事でお確かめください。
まず、「川に行くならとにかくライフジャケットをつけて!」これに限ります。理由は次の2つです。
その1。川では浮力が足りなくなる場所が多くあるからです。
例えば水に空気がたくさん含まれる場所では、軽い空気によって水全体も軽くなるので、人は沈みます。堰堤、滝壺など、リサーキュレーションといわれる循環水流が起こっている場所では、上に浮かぶ浮力では対抗しきれません。
陸上では、人が急に重たくなったり、軽くなったりしません。しかし、水中では相対的に人が重たくなる場所があるのです。真水は海水より軽いので、川ではより一層浮力を補強するためにライフジャケットは必須なのです。
その2。動水圧は流れる速さの2乗です。見た目の速さ以上の圧力が体にかかります。水深が膝丈以上で動水圧のある場所では、体の自由がきかなくなります。ただ一直線に流れるだけの動水圧も相当なものですが、地形に影響を受け、水流は複雑に変化します。
川の事故があると、着衣泳の授業を増やすべきとか、「浮いて待て」をもっと教えようという声も聞こえてきます。もちろん準備も何もできない突発的な状況で少しでも生存率を高める方法を教えることもありだとは思います。
でも、川での事故原因の90%は単純溺水なので、ライフジャケットさえつけていれば助かったのです。数パーセントの生存率をあげる方法よりもまず、90%を必ず助けることができるライフジャケットの装着を優先的に学校などで教えるべきだと思います。なぜこれを教えて来なかったのかが逆に不思議です。
以下、特定の事例をさすわけではありませんが、ライフジャケットは当然着けなければいけないものなので、川のイベントの主催者は、ライフジャケットの着用を呼びかけてほしいと思います。安全に配慮できている川のイベントではレンタルを実施している所もあります。予算がないのであれば、参加者に着用を呼びかけることくらいはできるのではないでしょうか?
それから、川でのイベント時には、主催者は必ずライフジャケットを装着すべきです。主催者や他の参加者の命を顧みない行為によって、浮力もなしに飛び込み、溺れた人を救出すれば美談になります。でも、美談で終わらないでください。同じように救出しようとして命を落とした救助者が多くいます。プロの救助者にとってライフジャケット装着は義務と同義です。ライフジャケットなしに救助に行くという事態が決して起こらないよう、主催者自らライフジャケットつけて救助できる体制を整えてください。
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