2017/05/12
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
救助には普通のロープでなく、投げ入れるタイプのスローロープを準備!
さらに、救助の体制を整えるために、投げ入れるタイプのスローロープを準備してほしいです。そこらにあるロープではダメです。水に浮かばないと救助できませんし、投げやすい形状であるかが重要です。
ロープについては、すでにこちらで紹介したので、見てください。
■川の水難事故に、泳ぎのうまいへたは全く関係ない!? 海のアドバイスは川では使えません!~川遊びのライフジャケットはシートベルトと同じくらい重要~
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1917
でも、スローロープ使ったことある人はどれだけいるのでしょうか?見たことも使ったこともない人が多いこの国では、アニメでもありえない救助シーンがでてきます。
以前見たのはこんなものでした。主人公の友が川に流されます。主人公は、「待ってろ○○(ここに友の名前)!」とか叫んで、自分の腹部をロープで結びます。反対側のロープは川岸の樹にくくりつけます。その状態で飛び込んだ主人公は友を無事に救出し、めでたしめでたし・・・・・とは絶対なりませんからね!
実際にはどうなるか説明しましょう。まず、主人公が飛び込むと下流に流されるので、樹につないだロープはピンと張ります。次に、動水圧を受けるため、腹部に結んだロープを基点に体はくの字型に曲がってしまいます。そうすると後頭部を上にした形で上体が水没し、頭の上に水圧を受けるので、主人公は顔をあげることすらできなくなります。残念ながら、友より先に命を落とすことになりそうです。
ライフジャケット装着があたりまえになっている国のアニメでは、救助のシーンも正確です。悪役だって、ちゃんとライフジャケット装着しています。悪役なのに・・・
ちなみに水害の時の避難のイラストで、こどもが流されたり、はぐれたりしないよう、親子の腹部をロープで結び合っているイラストも見かけることがありますが、これはNGです。動水圧を舐めてます。詳しくはこちらの記事で書いています
■津波・洪水避難も川遊びも普通のヘルメットじゃダメ!あんどう流の意外な防災ヘルメットはどれ?~津波避難に防災頭巾でホントにいいの?~
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1924?page=4
ですので、川と楽しく遊ぶ方法を教えるイベントであれば、よい機会なので、ライフジャケット装着と救助の仕方も一緒にマスターしてほしいです。
主催者の本部はイベント中央にあったりするものですが、救助要員は、常に川下に数人配置すべきです。川は主に下流に流れるからです。
ライフジャケットを装着したうえで、正しい流され方、救助のされ方があるのはご存知ですか?自分も救助者も危険にならない助けられ方です。習ったことない人が圧倒的多数だと思います
詳しくはやっぱりこちらへ
■川の水難事故に、泳ぎのうまいへたは全く関係ない!? 海のアドバイスは川では使えません!~川遊びのライフジャケットはシートベルトと同じくらい重要~
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1917
そんなこと、全く知らなかったとよく言われます。カヌーイストなら常識中の常識なのに。20年前、車でシートベルト装着しない人がいたように、10年前、自転車でヘルメットをかぶらない人が多数だったように、ライフジャケットはまだ一般の常識ではないのでしょう。
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/03/05
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/04
-
-
-
トヨタが変えた避難所の物資物流ラストワンマイルはこうして解消した!
能登半島地震では、発災直後から国のプッシュ型による物資支援が開始された。しかし、物資が届いても、その仕分け作業や避難所への発送作業で混乱が生じ、被災者に物資が届くまで時間を要した自治体もある。いわゆる「ラストワンマイル問題」である。こうした中、最大震度7を記録した志賀町では、トヨタ自動車の支援により、避難所への物資支援体制が一気に改善された。トヨタ自動車から現場に投入された人材はわずか5人。日頃から工場などで行っている生産活動の効率化の仕組みを取り入れたことで、物資で溢れかえっていた配送拠点が一変した。
2025/02/22
-
-
現場対応を起点に従業員の自主性促すBCP
神戸から京都まで、2府1県で主要都市を結ぶ路線バスを運行する阪急バス。阪神・淡路大震災では、兵庫県芦屋市にある芦屋浜営業所で液状化が発生し、建物や車両も被害を受けた。路面状況が悪化している中、迂回しながら神戸市と西宮市を結ぶ路線を6日後の23日から再開。鉄道網が寸断し、地上輸送を担える交通機関はバスだけだった。それから30年を経て、運転手が自立した対応ができるように努めている。
2025/02/20
-
能登半島地震の対応を振り返る~機能したことは何か、課題はどこにあったのか?~
地震で崩落した山の斜面(2024年1月 穴水町)能登半島地震の発生から1年、被災した自治体では、一連の災害対応の検証作業が始まっている。石川県で災害対応の中核を担った飯田重則危機管理監に、改めて発災当初の判断や組織運営の実態を振り返ってもらった。
2025/02/20
-
-
2度の大震災を乗り越えて生まれた防災文化
「ダンロップ」ブランドでタイヤ製造を手がける住友ゴム工業の本社と神戸工場は、兵庫県南部地震で経験のない揺れに襲われた。勤務中だった150人の従業員は全員無事に避難できたが、神戸工場が閉鎖に追い込まれる壊滅的な被害を受けた。30年の節目にあたる今年1月23日、同社は5年ぶりに阪神・淡路大震災の関連社内イベントを開催。次世代に経験と教訓を伝えた。
2025/02/19
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方