第94回:世界の地政学的リスクの最新状況を俯瞰できるリスクマップ
Marsh / Political Risk Map 2020
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より複数のコンサルティングファームにて、事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。一般社団法人レジリエンス協会 組織レジリエンス研究会座長。BCI Approved Instructor。JQA 認定 ISO/IEC27001 審査員。著書『困難な時代でも企業を存続させる!! 「事業継続マネジメント」実践ガイド』(セルバ出版)
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世界の損害保険業界各社では、それぞれさまざまな形でリスクに関するデータや情報を蓄積しており、それらを元に作成した報告書やデータベースを発表している(注1)。今回紹介させていただくのも同様に大手保険ブローカーのMarshが2020年3月に発表したものである。
報告書のタイトルが「Political Risk Map」となっているものの、内容は政治的リスクにとどまらず、いわゆる地政学的リスク(geopolitical risk)の範疇(はんちゅう)となるような観点も含まれている。また副題に「Trade Tensions Threaten Political Stability」(政治的安定を危険にさらす貿易的緊張)と書かれている通り、本報告書においては貿易摩擦が地政学的リスクに与える影響が特に注目されている。
なお、本報告書の日本語版がMarshの日本法人であるマーシュ ジャパン(株)の Webサイトで公開されている(注2)。従って実は本稿を読むのをやめてマーシュ ジャパン(株)による日本語訳を読んだ方が本報告書の内容を早く理解できるかもしれないが、日本語訳されていない情報も一部あるので、引き続き説明を続けさせていただく。
本稿のトップに掲載した図は各国・地域ごとのリスクを総合的に評価した結果である「Country/Region Risk Index」を色分けして示したものである。レイアウトの都合上、図が小さくなってしまって見にくいと思われるので、詳しく知りたい方は本稿の最後に記載した「報告書本文の入手先」にアクセスしてオリジナルの方をご参照いただきたい。濃いめの緑色の部分(グリーンランドやスウェーデン、ノルウェーが該当)が最も安定(Stable)、赤色の部分が最も不安定(Unstable)と評価された国・地域である。
上に掲載した図は本報告書のPDF版から引用させていただいたが、Webサイトでは図の表示を次の4種類に切り替えられるようになっている。
- Country/Region Risk Index(総合的な国・地域ごとのリスク指標)
- Political Risk Index(政治的リスク指標)
- Operational Risk Index(オペレーショナル・リスク指標)
- Economic Risk Index(経済的リスク指標)
各国の政治的リスク指標
図1はこれらのうち、政治的リスク指標を表示した結果である。Webサイトのレイアウトの都合上、図1にはアメリカ大陸が含まれていないが、実際には右側にスクロールすれば南北アメリカ大陸も表示されるうようになっている。
さらに、Webサイトでは地図上でクリックすると、その国・地域に関する情報がポップアップされて表示されるようになっている(注3)。
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