鳥類のコロナウイルス感染病に対する実験結果から持続感染について考察(写真:写真AC)

2019年暮れに中国湖北省に始まった新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)の発生が、ヨーロッパを中心に世界中に蔓延しており、すでに100カ国以上で20万人以上の患者が出ていると報道されています。WHOはこの感染病をパンデミックと宣言しています。患者数は、震源地の中国よりもその他の国々の総数の方が多くなったと伝えられています。

前回紹介しましたが、2003年に起きたSARSあるいは現在でも完全には消えていないMERSに罹患した人では認められなかった、発病した人がいったん回復した後再発するケースが、今回では少なくとも中国、日本、韓国で起きています。

前回、回復者が新型コロナウイルスの再感染を受けたために再発した可能性は完全にはぬぐい切れないと記述しました。一方、今回の新型コロナウイルスに感染して発病した場合、臨床症状が消え、PCR反応も陰転し、治癒したように診断されても、実はウイルスは体内から完全には消滅しておらず、何らかの圧力(ストレス)が回復者に加わり、その結果体内に残っていたウイルスの増殖が再び始まってしまった可能性もあります。すなわち持続感染が起きているのではないかということです。

後者の可能性にについて、鳥類のコロナウイルス感染病である鶏伝染性気管支炎(IB)の病原体であるIBウイルスを用いて筆者は30年以上前に検討しています。その結果、IBウイルスは持続感染を起こし得るウイルスであることを認める実験成績を得ています。概要を紹介します。