2012/11/25
事例から学ぶ
日本を代表する高級ホテルで知られる帝国ホテル(千代田区)は、東日本大震災で、ホテルの宿泊客やレストランの利用者だけでなく、外部から最大2000人の帰宅困難者を受け入れた。ロビーや宴会場、廊下スペースを開放し、無償で炊き出しを行うなど、交通機関が復旧する翌朝まで多くの帰宅困難者に対応した。
■日比谷・銀座方面から大勢訪れる
帝国ホテルは、本館と帝国ホテルタワーの2つの建物から成り、931の客室と多くのレストランやバーラウンジ、宴会場などを持つ。
東日本大震災では、震災発生後すぐに、総支配人を責任者とした現場指揮所と社長を本部長とした災害対策本部を設置。顧客の安全と、館内施設の被害状況を確認した。
震災が発生した午後2時46分は、午前中の宴会を終え、レストランも昼食の混雑のピークを過ぎた時間帯であったため、ホテル内では、震災直後も特に大きな混乱はなく、また建物、ライフライン共にほとんど被害が無かったことから、レストランやロビーラウンジに残った顧客への対応を続けていた。が、しばらくすると、震災発生時ホテル周辺にいた帰宅困難者が、寒さをしのぎ、また、携帯電話が不通で公衆電話を探したり、トイレを探しにホテルに入館してきた。
現場指揮所で帰宅困難者の対応に当たった帝国ホテル総務部総務課の鈴木公持副支配人は「日比谷公園が千代田区指定の帰宅困難者支援場所となっていましたが、寒さもあり利用者が少なかったこと、また交通がストップしたため日比谷通りを歩き続けてきた人も多く、時間を追うごとに大勢の帰宅困難者がホテルに訪れてきました」と当時を振り返る。
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