(Panther Media/アフロイメージマート)

前回、オークランドがレジリエント戦略で掲げた3つのテーマの概要をご紹介しました。その中の一つに、「活気があり、地域の主体とさらにつながるオークランド」というテーマがありました。オークランドのレジリエント戦略では、各テーマの下にゴールと具体的アクションが設定されています。

当該テーマにひもづくゴールに、「現在と未来の気候変動リスクを減らすこと」があります。市では、将来、気候変動に関連する災害――海水面上昇による洪水や異常気象(暑さ)、干ばつなど――がさらに増えると予想しています。加えて、古くから地震に見舞われてきた地域ですので、対策をする必要があります。

気候変動リスクを減らすため、7つのアクションが定められました。

①市街区の再構築―エコブロック構想
②エネルギーと気候変動への対応計画の改訂
③耐震性の低い建物の再構築プログラム
④海面上昇のロードマップ作成
⑤地域防災計画に基づくアクション設定
⑥100%クリーンで再生可能なエネルギーのインパクト評価
⑦リスクモデルを通じたコミュニティレジリエンスの強化

市街区の再構築―エコブロック構想

エコブロック構想は、気候変動へのアクションの中で中心的な役割を期待されています。この構想は、オークランド北部地域の住民との協働プロジェクトです。当該地域には30以上の住宅が建ち並び、一つの街区(ブロック)は2つから3つのユニットに分かれています。これらのユニット全体でエネルギー効率を上げるため、各住居の屋上にソーラーパネルを設置したり、ソーラーパワーのマイクログリッド装置や蓄電池を備え付ける計画です。コミュニティーが共同で使える、電気自動車の充電施設も整えます。

また、水資源の再利用を可能とする設備を当該街区で保有することで、資源利用のさらなる効率化を図るとしています。リサイクルされた水は街区内の共同の畑で利用して、ヒートアイランド現象を和らげる狙いもあります。

エネルギーと気候変動への対応計画の改訂

ここでは、2012年に策定されたエネルギーと気候変動への対応計画を、現在のオークランドの状況に沿った形に改訂するとしています。

まず、対応計画に記された175ものアクションの優先順位付けの見直しを行います。さらに、現計画で1)エネルギー利用、2)交通と土地利用、3)資源の再利用、4)コミュニティエンゲージメント、5)気候変動への適応――と分けられている対応カテゴリーを見直し、計画全体を経済、社会、技術、気象の4つの観点から構成し直します。2030年の未来から見たときに、ベースラインとなるような計画を目指しています。

耐震性の低い建物の再構築プログラム

1階に店舗が入っているアパートメントなど、一般的に耐震性が弱いと考えられる建物のオーナーに対して、建物の改築に必要な財政支援プログラムを開発しています。

このような建物は、オークランド市内に2万2000件あるといわれています。当該プログラムを通じて、市は耐震性の低い建物のオーナーとのつながりを作ることができます。市の独自財源に加えて、FEMAの財政サポートも受ける予定です。