中国、東南アジア、南アジアの監視が必要

ハノイ市などベトナム北部も亜熱帯に属しますが、季節性インフルエンザの流行は起きています。1~2月の気候は、ベトナム人には寒いようで、手袋やマフラー着用など防寒対策を取っている人たちが多く見受けられます。筆者たちにとっては涼しく、寒さはあまり感じられない程度でしたが。寒さに対する感覚は、ベトナム人と日本人ではかなり大きな差があるようです。この時期にベトナムではインフルエンザが流行する傾向が見られます。

一方、最初中国に出現したH5N1亜型ウイルスによる高病原性鳥インフルエンザは、中国やベトナムなどの東南アジア、南アジアにおいて、H5N1ウイルスはN亜型を変えながら、20年間以上にわたって猛威を振るい続けています。また中国では、H7N9亜型ウイルス感染による人の鳥インフルエンザが、2013年以来継続して猛威を振るっています(この2年間発生は起きていませんが)。従って、次の新型インフルエンザウイルスが生まれる場所としては、中国、ベトナムなどの東南アジア、南アジア以上に可能性の高い地域はないと筆者たちは考えています。

今、人の世界で流行しているA型インフルエンザウイルスは、香港風邪型のH3N2亜型と、2009年に出現したH1N1亜型のウイルスの2種類に限られています。一方、鳥インフルエンザウイルスは、計算上HA16種類とNA9種類のすべての組み合わせが存在します。近い将来、どのような亜型の新型インフルエンザウイルスが出現するのか分かっていません。H5N1あるいはH7N9亜型ウイルスの他、いくつかの亜型の鳥インフルエンザウイルスが、次の新型インフルエンザウイルスに深く関与するのではないかと注目されています。どの鳥インフルエンザウイルスが関与するのか、筆者たちは東南アジアのベトナムにおける鳥インフルエンザウイルスの生態を注目しながら、引き続き監視しています。