第15回:危機をマネジメントするための組織作り(その1)
緊急対策本部を機能させる
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
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■緊急対策本部の意味と目的
勤務時間中に災害が起こる。従業員たちは直ちに安全な場所に退避、集合して安否を確認しあう…。こうした緊急事態発生初期の対応は、だれが指図するでもなく、その気にさえなれば一人ひとりが自主的に動けるものだ(事前の訓練は必要ではあるが)。避難手順一つをとってみても、避難の呼びかけ、避難集合場所での点呼・報告などは、相互の協調性や協力意識の範囲で行動できるところがある。
しかし、とてつもないダメージと計り知れない影響をもたらす大規模災害の危機は、個人レベルの対応能力や協力意識だけではとても乗り越えられるものではない。そこで必要となるのが、会社組織として合理的に危機を管理する能力、全員一致協力して行動できるようにベクトルを合わせる力である。
今回は、危機をマネジメントするための組織、いわゆる「緊急対策本部」(災害対策本部ともいう)のあり方について考えてみよう。災害の危機に直面した会社を一日も早く正常な状態に戻すためには、社員が一丸となって復旧活動や業務再開のための活動に当たることが肝要だ。緊急対策本部はそのための意志決定と指揮命令を担う組織である。
この組織体制については、これまで多くの連載や寄稿で繰り返し述べてきた。以下に述べることも、一通りBCPの知識を身に着けた人にとってはいささか新鮮味に欠ける内容かもしれない。しかし他方、まだこうした組織機能にまったく馴染みのない人々が多数いることも事実。とても大切なことなので、あえて取り上げることにしたのである。
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