■実施計画書の作成

メンバーが集まったら、全員でBCPを作ることの意義や目的を共有するためにも、会議推進のための実施計画書を作成しよう。項目としては、例えば「BCP策定会議の目的」「守るべき事業」「成果(アウトプット)」「会議メンバー名」「完成までのスケジュール」などである。

なお、実施計画書を作ったとしても、直ちに参加者全員の正しい理解が得られるとは限らない。BCPに対する認識はそれぞれ異なるし、中には懐疑的なスタンスで臨む人もいるだろう。そこで、会議を進める際には次の2点に留意したい。

(1)BCPに対する認識を確認する
BCPは、よくも悪くも経営者や管理者層の目線で見たとおりのものができる。社長や管理者層がBCPを防災マニュアルと同等のものと勘違いしていたり、取引先からBCPを作るように頼まれたからとか、自社をアピールするための宣伝ツールとしか考えていなかったりすると、その程度の内容の会議で終わってしまうだろう。会議の初回会議ではBCPに対する参加者の認識を見極め、間違っているようなら正しい方向に導くようにしたい。

(2)有効性や価値を裏付ける資料を用意する
経営者は費用対効果を見る目がシビアである。ある活動を立ち上げるとき、それがどれだけコストがかかり、どれだけの価値を生むのかといった点に着目する。例えば社長から「非常時備蓄は何がなんでも全従業員の数だけ必要なのかね?」といった質問が出る。この時「BCPの教科書にはそう書いてあるのでその通りです」と答えたら社長は納得しないだろう。もし社員の7割が徒歩で通勤可能な圏内に住んでいるなら「非常時備蓄は、ひとまず全体の3割を占める遠方通勤者の人数分に限定します」と答えることもできる。可能な限りこうした情報を事前に準備しておきたい。

(了)