アマゾンのスピードを支える安全文化
第1回 ミーティングでは最初に安全について話す
株式会社エバーグローイングパートナーズ代表取締役/
事業成長支援アドバイザー
佐藤 将之
佐藤 将之
アマゾンジャパンの立ち上げメンバーとして、書籍調達部門の責任者、サプライチェーンマネージメント、および物流網の整備など、アマゾン日本法人の土台を築き上げた。拡大期にはFulfillment Centerと呼ばれる全国の物流拠点の立ち上げや地域統括として活躍した。2016年に同社を退職。2018年に株式会社エバーグローイングパートナーズを設立。現在、これまでの経験を活かし経営コンサルタントとして講演、研修、コンサルティング活動を行っている。著書に、『1日のタスクが1時間で片づく アマゾンのスピード仕事術』『アマゾンのすごいルール』などがある。
佐藤 将之 の記事をもっとみる >
X閉じる
この機能はリスク対策.PRO限定です。
- クリップ記事やフォロー連載は、マイページでチェック!
- あなただけのマイページが作れます。
「アマゾンと安全」? おそらく今この表題を見た方は大きな違和感を覚えているかもしれません。あのインターネット企業の雄として、先進的なサービスを次から次へと導入し、人々の生活を劇的に変貌させてきたアマゾンが、安全とどう結び付くのか、そんな疑問を皆さんは抱いていることでしょう。確かに表面上のアマゾンは、インターネット企業として、そのテクノロジーでさまざまなサービスを提供する会社ですから、「安全」といわれても簡単にイメージするのは難しいと思います。しかし実はアマゾンと安全は切っても切り離せない関係にあり、日々の運営に安全が非常に強く結び付いているのです。
巨大なオペレーション企業
アマゾンのサービスとして真っ先に皆さんの頭に浮かぶのは何といってもネット通販だと思います。膨大な量のカタログから商品を検索し、それをクリック一つで購入できる、しかもその商品は、倉庫に在庫があれば翌日、遅くとも翌々日には玄関先に届いてしまう。アマゾンが通販の価値観を大きく変更してしまったために、世の中では通販で買ったものは数日で届くというスタンダードすら作られてしまった感があります。その素早い配送や巨大な品ぞろえを支えているのがアマゾンの物流システム、フルフィルメントセンターと、それを支える調達・配送網のオペレーションです。2019年6月現在、全国にXXカ所のフルフィルメントセンターを抱え、毎日数百万点という商品を受け入れ、客に届ける巨大物流システム、それこそがアマゾンの強い成長を支えるエンジンの役割を担っています。そのオペレーションで日々最も重要視されていることが「Safety(安全)」なのです。
Always Safety First! (常に安全第一!)
アマゾンの倉庫を歩くと、至る所に「安全」の文字を見つけることができます。オペレーションフロアに入るとまず「Safety Board」と呼ばれる安全掲示板が目に入ります。安全に関する注意事項やフロアの見取り図、避難路、直近で起こった事故に関する情報など、そこで作業する人たちが必要とする安全に関わる情報を集約したホワイトボードです。また、作業エリア内でもさまざまな安全に関する注意事項やサインを見ることができます。朝礼では、安全10カ条の唱和を行い、安全に対する注意喚起や啓もう活動を徹底し、日々の業務が常に安全に配慮して行われています。
社内のミーティングでは、まず安全に関することを話すのがアマゾンのルールで、米国本社の幹部社員が訪れたときにも、彼らの言葉は常に「Safety First」から始まり「Safety First」で終わります。それだけアマゾンは現場の安全ということに気を配っている会社なのです。
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方