安全を維持するために~Day 1
第3回 なぜ当たり前のことを徹底する必要があるのか
株式会社エバーグローイングパートナーズ代表取締役/
事業成長支援アドバイザー
佐藤 将之
佐藤 将之
アマゾンジャパンの立ち上げメンバーとして、書籍調達部門の責任者、サプライチェーンマネージメント、および物流網の整備など、アマゾン日本法人の土台を築き上げた。拡大期にはFulfillment Centerと呼ばれる全国の物流拠点の立ち上げや地域統括として活躍した。2016年に同社を退職。2018年に株式会社エバーグローイングパートナーズを設立。現在、これまでの経験を活かし経営コンサルタントとして講演、研修、コンサルティング活動を行っている。著書に、『1日のタスクが1時間で片づく アマゾンのスピード仕事術』『アマゾンのすごいルール』などがある。
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入社日に行うこと
アマゾンが非常に成長の早い会社であることは皆さまもご存じの通りかと思います。一方で、毎年売上高2桁の成長を維持しているその裏側では、日々、多くの新しい社員が採用されています。特に、私が長く籍を置いた倉庫運営部隊は、売り上げ規模の拡大に伴い、既存倉庫の拡張だけでなく、新規倉庫の開設のために毎日のように多くの新たな仲間が加わっていました。中でもホリデーシーズンと呼ばれる年末繁忙期には、多くの作業者の方が入職することとなります。当然ながら右も左も分からない社員が倉庫内に大量に入ってくるわけですから、安全を確保するのは一苦労です。
まずはアマゾンが考える安全の価値観を覚えてもらい、倉庫内での安全な行動規範を学んでいただき、そして、作業に使う道具の安全な使い方を覚えてもらいます。しかし、アマゾンジャパンが数百億円の売り上げの時はそれほど大変でなかったことも、1兆円の流通総額を超えてくると一筋縄ではいかなくなります。それをどのように運営しているのか? そこには15年以上の日々のオペレーションの中での試行錯誤から生み出された仕組みがありました。
まず入社日、倉庫で勤務する全ての社員が受けるのが安全講習です。これは各倉庫に常駐する安全担当者が行う講習で、アマゾンの安全に対する考え方や倉庫内での行動規範がまとめられた「安全10カ条」の説明がメインとなります。その日は、入社する全ての社員が、職責などに関係なく一堂に会し、アマゾンの考える安全とは何かを学ぶことになります。アマゾンの倉庫内では、安全行動をおのおのが実践することが求められるために、この安全講習は細部にわたり徹底されます。物流の現場では当たり前に行われているような行動も、アマゾンでは禁止事項となっていることが多々あります。
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