倉敷で倉敷市真備町岡田小学校での炊き出し風景―大和重工株式会社の新入社員とともに「野菜たっぷりのちゃんこ鍋」

炊き出しにどんなイメージをお持ちですか?

「料理道具や食材など、一切、被災地に持ち込んで、現地で全て料理すること」

そう思っていませんか? もしそうであれば、残念ながら外れです。ここでご紹介する「進化した炊き出し」は、現地で手間暇をかけない超進化したものです。最近の進化を遂げている炊き出しの実例とその背景を探りましょう。

私が、実際に「進化した炊き出し」に遭遇したのは2018年。傷跡が色濃く残る西日本豪雨災害の被災地、堤防が決壊し家々が濁流に飲まれた岡山県倉敷市真備地区です。これまでの災害の炊き出しとは大きく違っていました。

保健所に炊き出しを申し出た同僚Dさんは、これまでやってきた炊き出しの流儀が通用しないことを知って面食らいました。保健所の指導は「キチンとした屋内のキッチン(調理場)で食材の下処理を終えた後に、被災地入りしてください」というものでした。

そこでDさんはキチンとした調理室で食材の準備を済ませ、ビニール袋に密封して、保冷しながら現地に運送しました。その結果、現地では大釜での加熱を残すだけになりました。全ての下処理は、水道の出る、冷房の効いた調理場で完了したわけです。なぜ、こうしたのでしょうか。それは、連日襲い掛かる猛暑のためです。