写真を拡大 (出展:BCI / Supply Chain Resilience 10 Year Trend Analysis)

これまで本連載では、BCMの専門家や実務者による非営利団体であるBCI(注1)によって毎年発表されている「Supply Chain Resilience Report」を度々紹介してきた(注2)。これは主にBCI会員に対するアンケート調査を通して、サプライチェーン途絶の発生状況や企業等における対策状況や問題意識などを探ろうとするもので、2009年に最初の調査が行われて以来、10年連続で行われている。

5回目の調査が行われた 2013年には5年分の調査結果を総括する報告書「Supply Chain Resilience Trends 2009-2013 Surveys」が発表されているが、10年目の区切りとなった今年も、あらためて10年分を総括する報告書「Supply Chain Resilience 10 Year Trend Analysis」が発表されたので、今回はこちらを紹介する。

まず本稿のトップに掲載した図は、サプライチェーンの途絶が発生した原因として、過去10年間の調査の中で最も多かったものから上位8位までの順位の変動を表したものである。縦軸の数字は各年の1位を10点、10位を1点として付与されたスコアを表しているので、この図を見る際には単純に10が1位、9が2位として見ていただいて差し支えない。

これを見ると「計画外のITおよび通信の停止(Unplanned IT and telecommunications outage)」が安定してトップであることが改めてわかる。また「サイバー攻撃とデータ漏えい(Cyber attack and data breach)」が 2013年ごろから急増していることも注目すべきであろう。

逆に2009年の時点では上位にあった「サプライチェーンにおける破産(Insolvency in the supply chain)」が下降傾向であることも興味深い。2008年以前に調査が行われていないので推測の域を出ないが、2008年のリーマンショックの影響で急増したものが落ち着いてきたという事かもしれない。

ちなみに2009年の3位が空白となっているが、この年の3位は「豚インフルエンザ("Swine flu" AH1H1)」であった。今後も新型インフルエンザの流行のような事態が発生すると、この時と同じくらいのインパクトをもたらす可能性があると考えてもよいであろう。