2019/05/13
企業よ、サイバーリスクに備えよ
制御システムでの組み合わせ
上記の各種ホワイトリスト制御をビルの制御システムに対して実装したイメージを以下に表示しました、ご覧ください。
赤枠の部分、ネットワークにつなげるデバイスのアクセスを制御する部分です。この部分はセキュリティ機能付きのイーサネットスイッチで実現します。制御データをイーサネットプロトコルで通信をするデバイス(PLC-GW、もしくはPLC)が所定の場所に接続されていることを確認し、各制御ネットワークへの接続を許可します。このとき、未登録の端末がシステムネットワークに接続されると、通信を遮断するとともに接続を試みた場所をアラームとして管理者に通知します。内部犯行などを防ぐ際に有効です。
緑枠の部分、各ネットワークに流れる通信を制御する部分です。ゲートウェイ製品(主にUTMなどと呼ばれる製品)で制御します。最近のゲートウェイ製品は制御プロトコルのホワイトリスト機能をサポートしている製品も多くあります。この製品を設置するとシステムで許可された通信しか他のネットワークに流さないので、万が一、感染した端末やハッキング端末からの通信を検知した場合、その通信を遮断するので、悪意のあるリモート操作や他のシステムへの脅威拡散などを防ぐことができます。
青の部分、デバイス、サーバーなどで動作するアプリケーションの制御部分です。WindowsやLinuxなどのOSが搭載されている端末にAgentツールをインストールし、動作可能アプリケーションの制限をかけることが可能になります。このことにより、管理者などが未認可アプリケーションのインストールの試みや、感染してしまった端末が他の端末に対して感染を促すような動作などを防ぐことができます。
説明した通り、上記のホワイトリスト対策の長所は異なります。組み合わせで利用することにより、より強靭(きょうじん)なサイバーセキュリティ対策を実現することが可能です。これを私は制御システムの多層化防御と呼んでいます。
またそれぞれの対策を連動させることにより、管理者の負担を軽減することが可能となります。その連携のつなぎ目を補うのはSDN(Software-Defined Networking)という技術です。次回は私たちアライドテレシスが取り組んでいる制御向けのSDNソリューションについて解説していきます。
(了)
- keyword
- サイバーセキュリティ
- サイバー攻撃
- 制御システム
- ビル
企業よ、サイバーリスクに備えよの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方